競泳の華、男子100メートル自由形で、北京五輪の覇者、25歳のアラン・ベルナール(フランス)が初めて47秒の壁を突破した。新しい「高速水着」で23日、フランス選手権準決勝2組で46秒94をたたき出した。日本選手権でも日本新続出の要因となった「高速水着」開発合戦は、激化しそうだ。

 昨年3月の欧州選手権の準決勝で47秒60、決勝で47秒50と連発して一躍注目を浴び、北京五輪でイーモン・サリバン(オーストラリア)と記録更新合戦を演じた末に金メダルを獲得した。スイムニュース・オンライン(電子版)によると、頭痛があって「結果を考えずに集中しようとした」23日の準決勝は前半を22秒35でカバーし、後半も勢いは衰えなかった。

 使用したアリーナ社(イタリア)の水着開発にベルナールも携わった。「年明けから協力した。自分がこの試みに関係したと思うと素晴らしい。ほかの選手も恩恵を受けてほしい」と話した。

 この水着は認可待ちのため、世界記録公認も時間がかかるかもしれない。それでも開発競争が、46秒台という形になって表れた。昨季はスピード社のレーザー・レーサーに主役を奪われた他社が、巻き返しに力を入れるという図式は日本も世界も変わらない。

 ちなみに、デサント社が販売するアリーナ名の水着は、ベルナール着用のものとは違うという。「ベルナール選手のはアリーナ社が供給した。日本選手権で着ていただいたのは、弊社が自社開発したもの」(デサント社広報)という。(共同)