2016年夏季五輪開催都市を決める10月2日の国際オリンピック委員会(IOC)総会にオバマ大統領が出席しないことは、シカゴと招致を争う東京など他候補都市には朗報といえる。

 欠席の理由は医療保険改革に力を注ぐためというが、招致レースでシカゴが劣勢な状況も無関係ではないだろう。9月2日に公表されたIOCの「評価報告書」で、シカゴは財政面を中心に他都市と比べ厳しい評価を受けた。米政府が五輪開催の財政保証をしていない点がその最大の原因だ。

 国家リーダーによる招致活動の推進は05年、当時のブレア英首相が12年ロンドン五輪招致のロビー活動で大活躍してから定例化した。14年冬季五輪ではロシアのプーチン大統領(当時)がIOC総会で英語のスピーチを披露し、ソチの逆転勝利を呼び込んだとされる。

 ただオバマ大統領のIOC総会出席には「敗れた場合はスーパーパワーである米国の威信に傷が付く」と懐疑的な見方もあった。リオデジャネイロを抱えるブラジルのルラ大統領、マドリードを支援するスペイン国王フアン・カルロス1世が早々に出席を表明したのとは対照的だった。