五輪で勝つためにはもっと金がほしい!

 北京五輪日本代表選手団の本隊が25日、羽田着のチャーター機で帰国し、都内のホテルで帰国会見を開いた。福田富昭選手団団長(66)は、国策として取り組んだ中国や英国の現状を分析した上で、今以上のメダルを獲得するためには、現在の4年で約80億円の国からの強化費補助を約3倍の240億円は欲しいと訴えた。

 福田団長の切実な訴えだった。「どの国も国策として五輪に挑んでいる。現在の強化費では、勝て勝てと言われてもこれ以上のメダル獲得は難しい」。中国の躍進や、12年ロンドン五輪を見据えて強化してきた英国などを目のあたりにして、国の支援体制への愚痴がこぼれた。

 現在、日本オリンピック委員会(JOC)の年間強化費は40億円弱。そのうち、国が3分の2の20億円強を補助金として負担している。4年間で約80億円だ。残りの3分の1はJOCや各競技団体が自己負担している。同団長は「国からの支援はありがたいが、3分の1でも重荷の団体もある」と限界を強調した。

 強化費とメダル数は比例しているのが現実だ。中国は、アテネ五輪の前から約8年計画で強化にあたり、地元で51個の金メダルを獲得。初めて世界一の座に就いた。次回の五輪開催国英国も、前回アテネの金メダル9個から19個と躍進した。

 日本は16年東京五輪開催を目指しているが、同団長は「もし実現したら、日本が活躍しないわけにはいかない」とし、その前のロンドン五輪では「せめて世界でも5番以内のメダル数確保が必要」という。そのためには「今の倍近くは欲しい」と、補助金の増額を希望した。現在の強化費全額補助なら4年で約120億円。その倍なら240億円ということになる。そして、国策としての強化ならば「国からの全額補助が当然」と続けた。

 国は総工費約370億円強を使い、ナショナルトレセンを建設した。しかし、その使用料も、各団体がある程度の額を負担している状況だ。「(全額負担は)政治判断だから、大変だとは思う。しかし、こちらも必死」(福田団長)。これまで女子ホッケーなど『貧乏』が話題になることが多かったが、それでは世界と戦えないことも事実だ。【吉松忠弘】