<スキー:フリースタイルスキー・モーグル全日本選手権>◇14日◇福島・猪苗代リステルスキーファンタジア◇女子モーグル

 「愛子2世」が日本一に輝いた。13日から順延された女子モーグルで、白馬高2年の岩本憧子(あこ、17)が初優勝。小、中、高校といずれも上村愛子の後輩で、愛らしいルックスや関西出身という点まで同じだ。

 表彰台の真ん中で、キュートな笑顔がはじけた。鮮やかなピンク色のウエアに身を包んだ岩本は、愛らしいルックスからは想像できない攻めの滑りでフィニッシュラインを割り、日本一の称号を得た。「うれしい!

 キレイで丁寧な走りより、速くガツガツいく、好きな滑りができました」。

 昨年の全日本選手権のデュアルモーグルでも準優勝し、「愛子2世」と呼ばれた。ともに関西出身で、長野県に引っ越した共通点を持つ。白馬北小、白馬中、白馬高と学校も同じ。遠征先の北海道でバンクーバー五輪をテレビ観戦し、先輩の勇姿を目に焼き付けた。

 だが、上村はあこがれではない。「愛子さんはあこがれっていうより大先輩で、でも超えていきたいなと思う」という。濃霧で順延になった13日は「憧子ちゃん滑れた?

 大丈夫だった?」と上村に声を掛けられるなど、直接話したことは何度もある。岩本にとって上村は尊敬する先輩だが、スタートラインに立てばライバルでもあるのだ。

 今季はW杯出場を目標としていたが、参加基準を満たせず、かなわなかった。今回、上村ら女子バンクーバー五輪代表組は出場していなかったが、全日本覇者となれば、日本代表入りに向けてアピールにもなったはずだ。2年前、当時高校生で今大会のデュアルモーグルを制した村田愛里咲は、今年2月の同五輪で入賞の快挙を果たした。「ソチを目指します。大観衆の中で滑ってみたい」。4年後の大躍進に、岩本は照準を定めていた。【鎌田良美】