<テニス:全米オープン>◇最終日◇13日(日本時間14日)◇米ニューヨーク・ナショナルテニスセンター

 男子シングルス決勝で、世界1位のラファエル・ナダル(24=スペイン)が、男子史上7人目の生涯4大大会全制覇の快挙を達成した。同3位のノバク・ジョコビッチ(23=セルビア)を6-4、5-7、6-4、6-2で破り初優勝。24歳での生涯4大大会全制覇は、史上3番目の若さ。68年オープン化(プロ解禁)以降は最年少での達成となった。4大大会通算9勝目を挙げた。

 待ちに待った瞬間が訪れた。最後はジョコビッチのフォアがアウト。ナダルは歓喜とともにコート上で転げ回った。「信じられない。最高の気分だ。夢以上のことが起きた」。全米本戦挑戦8度目で、初めて手にした栄冠が、オープン化以降最年少での快挙となった。

 ジョコビッチとの対戦は、14勝7敗。しかし、ハードコートに限れば3勝7敗と負け越し。最近は3連敗中だった。その難敵を相手に、最初から武器のフォアハンドがうなった。第2セット途中、約2時間の降雨中断。流れが相手に行きかけたが、第3セットを奪い、最後まで押し切った。

 全米だけが、過去、決勝にさえ進んでいなかった。「ここは、すべての状況が難しい」。ニューヨーク特有の騒がしさに、弾まない軟らかいボール。集中力はそがれ、ナダルの持ち味であるスピンボールは勢いを殺された。しかし、今年は、そのスピンの量を減らし、スピードが出るフラット系の球種を多用。サーブも好調だった。デビュー当時は、赤土の申し子と呼ばれ全仏で快進撃を続けた。その後、芝のウィンブルドンも制し、成長の跡を見せた。そして、この日は最もタフな4大大会といわれるハードコートの全米を制し、歴史に名を刻んだ。