<男子テニス:国別対抗戦デ杯アジア・オセアニアゾーン1部2回戦、日本-ウズベキスタン>◇最終日◇10日◇兵庫・ブルボンビーンズドーム◇シングルス

 日本男子に待望久しい真のエースが誕生した。世界50位の錦織圭(21=ソニー)が単複合わせて初の3連投を全勝で飾った。同68位のデニス・イストミン(24)に6-7、7-5、6-4、6-3の2時間57分で勝ち、日本は最終戦を待たずに3勝目を挙げ、9月16日から始まる世界グループ入れ替え戦進出が決まった。対戦相手は今週にも決定する。

 錦織にとって、長く苦しい3日間だった。初めて戦う“3連投”のフル稼働。個人戦と違い、チーム全体の勝敗を握る重圧を初めて味わった。しかし、エースの誇りで振り払い「全勝できたのは、NO・1として本当にうれしい」と、喜びをかみしめた。

 第1セットを失ってからの逆転勝ちだ。錦織の気迫に、最後は相手が力尽きた。「3日間、本当に充実していた」。うれしさのあまり、照れ屋の錦織には珍しく、上半身裸のまま「応援ありがとうございました」と観客へファンサービスした。

 相手のイストミンは、昨年の全米前哨戦でツアー準優勝。自己最高の世界39位は、錦織の46位を上回る。錦織は第2セットの5オールから、相手のラッシュにサーブが入らず、15-30と追い込まれた。しかし、そこで起死回生のフォアのクロスが抜けた。「あのショットが鍵だった」。そこから波に乗り逆転につなげた。

 汗で7~8回もシャツを着替えた。チェンジコートの度に、氷嚢(ひょうのう)を首に乗せ、冷やしたタオルを体に当てた。室温28度、湿度80%の会場の中で「1セット目の後半からすでに(ボーッとする感じが)来ていた」。それでも体を動かし続け「最後も死にそうではなかった」と胸を張った。

 07年以来の世界グループ入れ替え戦進出だ。相手は決まっていないが、ウズベキスタン以上の強豪国が相手となる。85年以来遠ざかっている世界グループ復帰に向け「次も絶対に勝ちます」と、錦織が日本の真のエースとして勝利を誓った。【吉松忠弘】