身体障害者の国際スポーツ大会「パラリンピック」のメダリストが、五輪出場という快挙に向けて走りだした。ロイター通信によると、08年北京パラリンピックの女子車いす競技で銀メダル2個を獲得したオランダ人モニク・ファンデルホルストさん(27)は、昨年3月の練習中に自転車にはねられ、腰を強打した。リハビリを続けると、13歳で受けた足首手術が原因で下半身まひになって以来、両足が初めて動くようになったという。「昨年7月に自分の足で1歩、歩けた。赤ちゃんが歩き始めた時みたい」と笑顔を見せた。担当医は「奇跡だ。説明がつかない」と驚いている。

 ファンデルホルストさんは、同11月に歩行ができるまで回復した後、退院。所属先で車いすチームから自転車チームに“異動”した。16年ブラジル・リオデジャネイロ五輪に自転車競技での出場を目指す。現在の脚力ではチームメートに追い付かないが、車いす競技での抜群の成績から、トップレベルの脚力になる日は近いと期待されている。

 09年には障害者で初めてハワイのアイアンマン世界選手権で優勝。母国で障害者対象の年間最優秀スポーツ選手に輝いた。

 所属チームのユニホームに身を包み、競技用自転車のロードレーサーで快走する姿には、早くも力強さが漂う。「久しぶりに鏡の前で、自分が立っている姿を見た時は、ものすごくうれしかった。今の目標は、うれしい時に両足でジャンプできるようになること」。五輪出場だけでなく、表彰台の上でジャンプする日が近いかもしれない。

 ◆パラリンピック

 国際パラリンピック委員会(IPC)が主催。身体障害者を対象とした世界最高峰国際スポーツ競技大会。60年ローマ大会にはじまり、92年アルベールビル大会からは冬季大会も開催。現在までに夏冬あわせて計23回開催。