<テニス:ウィンブルドン選手権>◇3日目◇27日◇ロンドン・オールイングランド・クラブ

 ロンドン五輪代表を逃した世界82位のクルム伊達公子(41=エステティックTBC)が女子シングルス初戦で敗退した。左ふくらはぎのけがにも負けず健闘したが、同66位のカテリナ・ボンダレンコ(25)に7-5、3-6、3-6で逆転負けを喫した。

 左ふくらはぎの真っ白なテーピングが痛々しかった。全仏や前哨戦のけがに、3日前に超音波検査を受けると、幅2ミリ、長さ2・7センチの断裂が見つかった。「医者はやめろと言ったけど、ウィンブルドンだから出場した」。苦渋の決断だったが、その思いも実らなかった。

 因縁の対決となった。前日にロンドン五輪代表の発表があり、切望していた推薦枠での出場はならなかった。「自力で出られなかった段階で、思いは断ち切るしかなかった」。相手は、その推薦枠を獲得したボンダレンコ。五輪と同会場で勝つことで、力を証明したかった。しかし、それもかなわなかった。

 すでに満身創痍(そうい)だ。たとえ五輪が決まっていても「ウィンブルドンを取るか、五輪を取るか難しかった」。今大会後は、五輪がなくなったため、予定の大会をキャンセルし、足の治療に充てる。【吉松忠弘】