全日本柔道連盟(全柔連)は30日、東京都文京区の講道館で記者会見を開き、女子代表の園田隆二監督とコーチが暴力やパワーハラスメントを受けたとする選手15人から告発された問題で、事実関係を認めて謝罪した。

 ロンドン五輪で金メダル0に終わった男子は、監督の「体罰」を否定した。当時の篠原監督は竹刀を手に練習を指揮し、時には選手の人格を否定するような言葉を浴びせるのが有名だった。「行きすぎ」という点で園田監督以上にも見えたが、代表選手の1人は「体罰や暴力だと思ったことはなかった」と話した。

 同じ言動でも受け手によって感じ方は違う。信頼関係の有無によって、暴力ととるか愛情ととるかは人それぞれ。男女の差があるなら、なおさらだ。違う選手は「監督の言動はいつものことで、普通にとらえていた。問題にするようなことはなかった」と説明。周囲も監督の「キャラクター」の1つとして見ていた。

 ただ、暴力に近い行為を「体罰」と感じないのも、ある意味では柔道界の不幸かもしれない。「小さい頃から当たり前のように殴られた。だから、感覚がまひしているのかもしれない」と別の選手は言う。小野沢専務理事も「多くの指導者は体罰などしないが、ある程度たたいてもいいという風潮はあった」と認めた。高校や中学でも多発する柔道部の事故。正しい指導者を育てない限り「体罰」がなくなることはない。