<フィギュアスケート:グランプリシリーズ第4戦・NHK杯>◇10日◇東京・代々木第1体育館

 食事も衣装もこだわります-。自己最高得点で2連覇を果たした浅田真央(23=中京大)は、優勝から一夜明けてエキシビションに参加した。GPシリーズの連勝で出場を決めたGPファイナル(12月5日開幕)では、開催地の福岡・博多名物のもつ鍋を控える構えで、食事に対する意識変化をのぞかせた。フリーの衣装では、さらに動きやすさを追求した新作も制作予定。

 浅田の脳裏にはいろいろな食べ物が思い浮かんだだろう。GPファイナルは福岡・博多のマリンメッセ福岡が会場。遠征先の食事で「ヒット料理」を探すのが楽しみなグルメだけに、何が食べたいか聞かれて考え込んだ。「あの~、なんだろうな」と悩んだ末に出した答えは「水炊き」。23歳にしては渋いカロリー控えめな選択の真意は、「もつ鍋は胃にきそうなので…」。もちろん嫌いではないが、今回優先したのは「栄養面」だった。

 今季は食事に関して一層の意識改革が見られる。これまでも食事内容を写真に撮って、栄養士に送ってきたが、体重面などを考えて残すことが多かった。それがいまは栄養素を考えて、完食を心がける。摂取する食事も注意を払う。食べたい現地の名物があっても、それを節制する自制心が働いているようだ。

 そんなこだわり方は衣装にも共通する。自己ベストを更新する演技を見せた前日フリーで着たのは、4年前に制作したもの。今季それまでの2戦で着た作品を「少し重く感じた」と変更していた。次戦で目指すのはさらなる改良。「できれば(新しいものを)作りたい。気に入ったものができればすぐに着ると思います」。博多では新作衣装も披露しそうだ。

 フリーを終えた前夜、佐藤コーチから「試合に向けて、試合での一発を大事にしよう。そういう気持ちで練習しよう」と諭された。練習では好調だが、本番でミスが出る現状。練習から試合のように集中し、意識改革をする。「次の練習をできないくらいまで出し尽くしたい」と誓った。今後はロシアから振付師が来日して、フリーの振り付けの手直しも加える。

 金色の衣装で演技したエキシビション。曲の「スマイル」そのままに、終始笑顔が絶えなかった。「いまは不安はまったくないです」。スケートに関わるすべての「こだわり」が、その言葉を支えている。【阿部健吾】