世界選手権60キロ級金メダルの高藤直寿(20=東海大)が、強行出場で柔道界の「顔」になる。国内唯一の国際大会グランドスラム東京は、29日に東京体育館で開幕する。男女日本代表は27日、東京・講道館で合宿を公開。初日に登場の高藤は「辞退しようかとかはなかった。負けて年を越せねえなと思った」と、飛躍の年を締めくくる優勝に意気込んだ。

 負けたのは今月3日の学生団体戦の筑波大との決勝。2-2で迎えた大将戦で敗れて3連覇を逃した上に「相手の大外刈りで有効を取られたときに左肩を亜脱臼した」。診断は2週間の絶対安静だったが、2日後には練習再開。左腕をつっていた包帯を外し、走り始めた。東海大の上水監督には出場を止められながら、「無理言って出させてもらった」という。

 今夏の世界選手権で同じく金メダルの66キロ級海老沼らが故障のため欠場し、大会ポスターにも登場した高藤が、唯一の覇者として出場する。痛みはあるか聞かれ「全然ないです」と言うが、万全でないのは確か。「昨年優勝して、そこから一気に駆け上がった」原点の大会。痛みにも試合にも勝って、気分よく14年の初日の出を拝む。【阿部健吾】