競泳女子背泳ぎの寺川綾(29=ミズノ)が4日、都内で引退会見をした。長年にわたって日本の女子競泳陣を引っ張った「美女スイマー」は、あえて「引退」の2文字は使わず「選手生活を卒業します」と、笑顔で宣言した。「引退という言葉は寂しいし、水泳は生涯スポーツ。これからも泳ぎ続けていきたい」。最後まで涙は見せなかった。

 決意したのは9月の東京国体後。「(12年の)ロンドン五輪が集大成のつもりだったけれど、もう1年頑張った」と話した。8月の世界選手権では50、100メートルで日本記録を更新。「まだできる」という声もあった。「体力の限界ではない」と言いながら「故障が多くて100%の力で練習できない。そんな自分が許せなかった」と、理由を説明した。

 今後はミズノの社員として「水泳の普及活動に貢献したい」。子どもたちに水泳の楽しさを伝えたいという。具体的なことは未定で、結婚は「全然ないですよ~」、留学も「今は考えていません」。笑いながら「まずは陸上の生活に慣れることですね」と言った。08年北京五輪代表落ちなど「山あり谷あり」と振り返りながらも、気持ちを込めて「本当に幸せな水泳生活でした」と締めくくった。【荻島弘一】