レジェンドに新たな勲章が加わる。2月7日開幕のソチ五輪の日本選手団主将を、ノルディックスキー・ジャンプ男子の葛西紀明(41=土屋ホーム)が務めることが14日、日本オリンピック委員会から発表された。夏季五輪を含めて最年長の主将となる葛西はこの日、史上最年長W杯優勝を果たした欧州から帰国した。副将はスピードスケート女子の田畑真紀(39=ダイチ)が務める。

 不惑を超えてなお「カミカゼ」と列強のライバルから恐れられ、同時に「レジェンド(伝説)」とリスペクトされる葛西に、新たな勲章が加わる。出場すれば世界最多となる、7度目のソチ五輪で務める主将の大役だ。この日、欧州から成田を経由し到着した新千歳空港で「主将でも旗手でもやってみたい」と話していた夢が現実のものとなる。

 過去6度の五輪は、94年リレハンメル大会の団体銀こそあるが、個人のメダルには無縁だった。その悲願達成への手応えも十分。11日のW杯第13戦(オーストリア・バートミッテルンドルフ)で、41歳7カ月の史上最年長優勝を達成。「僕にとっても歴史的瞬間だった」と、1面を飾った地元3紙の新聞と、優勝トロフィーを手に成田へ凱旋(がいせん)した。現地で発言した「まだ10年は現役を続けられる」の言葉をこの日も発し「自分が言うことで周りを道連れにする。それも若さの秘けつ」とジャンプ同様、語勢が途切れることはなかった。

 「ギネス級。申請しようかなと思う」という年長Vに、日本選手最多のW杯通算16勝。女子で同15勝の高梨沙羅(17=クラレ)に抜かれるのは時間の問題だろうが「僕の厳しい見方かもしれないけど、女子のワールドクラスは10人ぐらい。W杯もできたばかり」とプライドもチラリ。一方で悲願の金メダルどりに「踏み切りのタイミングとテレマークが決まれば。今は気負いもない」と冷静に本番を見据える。11日の歓喜の瞬間に「うるっときたけど、これは五輪で泣くべきと我慢した」と言う涙は、ロシアの地で思い切り流す。