<テニス:ソニー・オープン>◇25日(日本時間26日)◇米フロリダ州マイアミ

 世界ランキング21位の錦織圭(24=日清食品)が大逆転で金星を挙げた。同4位のダビド・フェレール(31=スペイン)を3時間5分の死闘の末、7-6、2-6、7-6で下しベスト8に進出した。錦織が世界トップ5に勝つのは5度目で、日本男子としては7度目。26日(日本時間27日)の準々決勝では元世界1位で同5位のフェデラー(スイス)と対戦する。

 敗退まで、残り1ポイントに追い込まれるたびに、錦織は不死鳥のようによみがえった。息も詰まるようなラリー戦を制し、約10カ月ぶりにトップ5から金星を挙げた。「相手は本当にタフな選手。その選手に勝ててうれしい」。鉄壁の守備を誇る壁のような相手を、打ち破った。

 左右前後、そして高低に、あらゆる角度にボールが飛ぶ。ともにストロークを主体にするスタイルだけに、長い試合は錦織も「覚悟していた」。今季は課題だった体の故障もなく、「体力で上回れたのは大きい」と、世界一流の相手との連戦にも決して大きくない体は悲鳴を上げなかった。

 第1セットのタイブレークを制したのが大きかった。ゲーム4-1とリードしながら追いつかれ、タイブレークでは2度のセットポイントを先に握られた。そこを逆転し、第1セットを76分で先取。第2セットは落としたが、その踏ん張りが「劣勢の時でも攻めていけた」と、最終セットの4度のマッチポイントでも生きた。

 この勝利で、トップ5のフェレールから3勝目となった。フェレールの守備型、錦織の攻撃型の差はあるが、ラリーが続くため、錦織にとってリズムがつかみやすい相手だ。共通の弱点はサーブで、相手にサーブのパワーで圧倒されることも少ない。12年ロンドン五輪でも破っており、苦手意識は薄かった。

 4大大会に次ぐ格付け(マスターズ大会)のこの大会で初めて8強に進出した。20位以下に落ちていた世界ランクも、再びトップ20に返り咲くのは確実だ。次戦は4大大会歴代最多17度の優勝を誇るフェデラーが相手だ。通算対戦成績は1勝1敗。「誰が来てもチャンスがある」。日本のエースは心技体ともに充実し、昨年5月の大金星の再現を、心に秘めている。

 ◆マスターズ大会

 4大大会に次ぐ規模の大会で、年間に米国、欧州で各4大会、アジアの上海で1大会、計9大会ある。賞金総額は約380万ドル(約3億8000万円)~650万ドル(約6億5000万円)。85年創設のソニーオープンは今季マスターズ2戦目。過去の優勝者にはジョコビッチ、フェデラー、アガシ、サンプラスらがいる。