<テニス:全米オープン>◇第6日◇8月30日◇米ニューヨーク・ナショナルテニスセンター◇男子シングルス3回戦

 世界11位の錦織圭(24=日清食品)が、日本男子として1922年の清水善造以来92年ぶりの8強入りに王手をかけた。同26位のマイエル(アルゼンチン)に6-4、6-2、6-3の1時間52分で快勝。08年以来6年ぶりに16強入りし、ベスト8進出をかけ、4回戦で同6位のラオニッチ(カナダ)と対戦する。

 錦織が復帰戦だったことなど、誰もが忘れた。4日に右足親指の切開手術をした選手とは思えない快勝で、全米初出場の08年以来の16強入りだ。「最高にうれしい。とてもいい感じで来ている。(ケガも)不安はない」。1回戦から「ヤマはなかった」と、1セットも落とさない快進撃だ。

 第1セットは第7ゲーム、第2セットは第1、7ゲームで相手のサービスゲームを破り、2セット先取。自分のサービスゲームは1度も落とすことなく、完全に錦織ペース。第3セットの第2ゲームで「少し硬くなった」と、初めてサービスゲームを落とした。しかし、最後は追いつきストレートで決着だ。

 6年前の全米3回戦で、世界4位のフェレールを破り、世界に衝撃を与えた。全米で18歳でのトップ4撃破は、73年ボルグ以来。16強入りは日本男子71年ぶりだった。「ほぼ満足し、次戦は上の空だった」。4回戦でデルポトロにストレートで敗れた。

 今年、その衝撃の16強に並んだが「今は当たり前のようにここにいる」。6年間で、世界ランクの最高位は99位から9位へと90位も上昇。ツアーでは5大会に優勝した。「まだまだ先は長い」。得意のハードコートの全米で、日本男子92年ぶりの8強、そして96年ぶりの4強入りも視野に入った。

 それには、次戦で宿敵ラオニッチを下す必要がある。1歳違いの同世代で、錦織の節目には、時速230キロ超えの爆弾サーブで立ちふさがってきた。12年ジャパンオープンで地元初優勝を遂げた時の決勝の相手だ。今年5月のマドリードで、マスターズ大会初の決勝進出を果たした時は3回戦で対戦した。

 いずれも錦織が勝ったが、ウィンブルドンでは初の敗戦を喫した。「次が大きなヤマとなる。でも、勝っていかないといけない相手」。今年、リターンゲーム奪取率世界6位の屈指のリターンで、ラオニッチのサーブを破壊。再び日本テニスの歴史を動かす。【吉松忠弘】

 ◆WOWOW放送予定

 1日午前7時55分~、2日午前0時~、WOWOWライブ。第7日ナイトセッション、第8日デイセッション。男女3、4回戦ほか。生中継。放送時間変更の場合あり。