テニスの全米オープンで日本人初の4大大会シングルス準優勝の快挙を達成した世界8位の錦織圭(24=日清食品)が、決勝から3日後の11日(日本時間12日)、拠点を置く米フロリダ州で練習を再開した。この日に自身のブログも更新し、決勝で敗れた悔しさを原動力に、4大大会初制覇を視野に入れた。今日13日に凱旋(がいせん)帰国する。

 日本人初の快挙にも、過酷なツアー転戦は待ってくれない。錦織は次戦となる22日開幕のマレーシアオープンに向け、早くもコートに戻った。ニューヨーク時間8日の決勝終了後、9日午後に拠点とするフロリダへ戻った。計7試合で約18時間半も戦いながら、休みはたった1日だけだった。

 ブログでは「まだ体が重いので、ゆっくり元に戻していく」と激戦の影響を感じさせながらも、公開した練習動画では軽快な動きを見せた。その力の源は「決勝という大舞台で自分の力を発揮できなかったのが一番悔しい」からだ。今シーズンの4大大会は終わったが、来年1月の全豪でその悔しさをぶつける。

 快挙の裏で、一番の進歩は体力面としている。「決勝に行くまで7回の試合をこなさなくてはならない。違う次元の人たちのこと」と思っていた。大会前には右足母指球脇の腫れ物で切開手術を受け、出場さえ危ぶまれた。それが「痛みはほとんどない。いやー何が起きたんでしょう」と、自分でも驚いている様子だ。

 チャン・コーチとともに、今年の目標は4大大会のベスト4以上に設定していたことも明かした。「マイケルと決めていた今年の目標グランドスラム・ベスト4以上もクリアしました!」。世界王者のジョコビッチを含め、初めてトップ10に3連勝した。4時間超えの連戦も制し「絶対の自信になります」。

 歴史を塗り替え、日本中に勇気を与えた。それだけに帰国後も、分刻みでのスケジュールが待っている。日本滞在はわずか5日ほど。すぐに香港へ飛び、イベントをこなしてからマレーシア入りする。日本人が誰も出場したことがない11月9日開幕のツアー最終戦、ATPツアーファイナルに向けて残り5大会。快挙の余韻に浸っている時間はわずかでしかない。