<男子テニス:メンフィス・オープン>◇14日(日本時間15日)◇米メンフィス・メンフィスラケットクラブ◇シングルス準決勝

 世界5位の錦織圭(25=日清食品)が自身ツアー初の同一大会3連覇に王手をかけた。10年覇者で同41位のサム・クエリー(米国)を5-7、7-6、7-6の2時間41分で制し、初戦から3試合連続の逆転勝ち。15日(日本時間16日午前6時以降)の決勝では、大会が77年にツアー大会となって以降初の3連覇を懸けて、同15位のアンダーソン(南アフリカ)と対戦する。

 錦織は負けてもおかしくなかった。第1セットを落としてからの逆転勝ちは3戦連続。しかし、前の2試合はまだ余裕があった。この日は「何度か負けるかもしれない」と、敗戦を覚悟するほど追い込まれた。「何とか決勝に戻れてうれしい」と、ホッとした表情を見せた。

 最終セットのタイブレークで、2-4とリードを許した。7点先取のタイブレークでは1つのミスが命取りになる。「リスクを冒さずにプレーした」と、相手の強打に安定したストロークで対応。勝ちを焦る相手から、ミスを引き出し、逆転に成功した。

 クエリーに27本のサービスエースをたたき込まれた。「リターンに苦労し、チャンスがなかった」。合計獲得ポイントはクエリーの125点に対し、123点と2点少ない。相手のサービスゲームを破った回数もクエリーは2回で、錦織は1回。完全な負けパターンだった。

 今大会の苦戦の原因は明らかだ。3戦ともに、第1サーブが入る確率が50%台。昨季の全試合を通じての平均が60%で、それ以下ではサーブで主導権を握るのが難しい。特に重要な場面で第1サーブが入らず、第2サーブを狙い打たれた。

 今年に入り、サーブの速度が上がったとはいえ、本来はサーブ一発で点を奪う選手ではない。それが、リスクを冒し強打するクエリーよりも確率が低い55%では苦戦は免れない。決勝も、身長203センチで、昨年、世界で5番目に多い723本のエースを放ったアンダーソンが相手だ。

 連続して立ちはだかるパワーヒッター相手に3連覇がかかる。勝っても負けても、世界5位維持は確定しており「気負いはない」。誰よりも負けず嫌いを自任する錦織だけに、決勝は、この日同様に内容よりも勝利を優先だ。

 ◆3連覇メモ

 メンフィスオープンは、昨年まで全米室内選手権という名称で行われていた。同選手権は1898年に第1回が行われた由緒ある大会。ツアー大会になる76年以前の3連覇は、1913~15年のタッチャードと73~75年のコナーズ(ともに米国)。なお、15年に行われる予定の男子ツアー64大会では、現役選手の同一大会3連覇は、ジョコビッチ(セルビア)、フェデラー(スイス)、ナダル(スペイン)、フェレール(スペイン)、ヒューイット(オーストラリア)の5人だけ。錦織が成し遂げれば現役選手として6人目となる。

 ◆WOWOW放送予定

 16日午前7時~決勝録画。WOWOWライブ。WOWOWメンバーズオンデマンドでは同日午前6時よりライブ配信。