<全国大学ラグビー選手権:明大22-17天理大>◇決勝◇12日◇東京・秩父宮ラグビー場

明大が22-17で天理大に勝利し、96年度以来22大会ぶり13度目の復活優勝を果たした。チームの礎を築いた故北島忠治監督の指導の下、多くの名選手を輩出した伝統校も、同氏が亡くなった96年度大会以降は、低迷。就任1年目の田中澄憲監督(43)が再建を担い、平成最後の大会で、王座返り咲きに成功した。

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再建を果たした田中監督の指導者としての原点は、選手、スタッフとして過ごしたサントリー時代にある。最も影響を受けたのが、指導を受けたエディー・ジョーンズ前日本代表ヘッドコーチだ。昨年2月にはイングランド代表を率いる同氏のもとを訪ね、ミーティングにも参加。「学んだのは準備の重要性。この時期はこうと計画通りに進めているから、不測の事態に対応できる」と話す。

また、チームの採用担当時代は各大学を訪問し、気付きがあった。「空気でチーム力は分かる。帝京大の学生が素晴らしいのは、主体的に動けてポジティブなこと。そういうチームにしないといけないなと思った」と振り返る。監督という大役に、迷った時は、サントリーの精神「やってみなはれ」を自らに言い聞かせた。「自分が決めたことだから、やりきる」。選手から「キヨノリさん」と慕われる43歳が、母校を頂点に導いた。【奥山将志】

◆田中澄憲(たなか・きよのり)1975年(昭50)12月28日、兵庫県生まれ。小1でラグビーを始める。報徳学園から明大。3年時の96年度に日本一。主将を務めた97年度は決勝で関東学院大に敗れた。サントリー時代は日本代表も経験。11年に現役引退し、サントリーで採用やフロントを歴任。ポジションはSH。164センチ。

◆明大ラグビー部 1923年(大12)創部。優勝は関東大学対抗戦15度、大学選手権13度、日本選手権1度。87年対抗戦での早大との「雪の早明戦」は名勝負として今も語り継がれる。67年間監督を務めた故北島忠治氏が言い続けた「前へ」はラグビー部の代名詞に。主なOBは元日本代表の吉田義人、元木由記雄、現日本代表の田村優(キヤノン)、梶村祐介(サントリー)ら。