<ラグビー・トップチャレンジシリーズ:横河武蔵野29-23NTTドコモ>◇最終節◇30日◇東京・秩父宮ラグビー場

 秩父宮に帰ってきた「赤鬼」は、願いをかなえることはできなかった。元日本代表主将アンドリュー・マコーミックが指揮するNTTドコモは、入れ替え戦行きを目指して横河武蔵野と対戦し、23-29の惜敗で、目標のトップリーグ昇格は持ち越しとなった。

 後半11分までに16-26のビハインド、同21分にSH田原章太郎がゴール前のラックからボールを出し、自ら持ち込んでトライ(ゴール成功)で、3点差に詰め寄った。その後、相手PGで6点差にされても、同35分、試合終了間際と2度もゴール目前まで攻め込み、劇的逆転を予感させた。最後は微妙な判定もあり、敵将レオ・ラファイアリ・ヘッドコーチに「互いに大事な試合なのに、あいまいな判断があった」と言わしめる紙一重の内容だった。

 それでも、マコーミック・ヘッドコーチは「よく巻き返した。今季のベストゲーム」と笑顔で言った。その顔は、やはり赤らんでいた。就任1年目でのこの結果に「目標の70~80%。毎試合いい試合をするのが難しい。選手層の厚さもまだ足りない」などと、トップリーグとの差を認めつつ、「このチームはもっと伸びる」と繰り返した。

 東芝府中時代から「アンガス」の愛称で親しまれたマコーミック・ヘッドコーチが、秩父宮の舞台に戻ってきたのは、現役を引退した04年以来だった。最後は悔しさを押し殺し、「また戻ってくるよ」と手を振った。