正々堂々と一直線に走る相撲ぶりを表すように、稀勢の里の口上はシンプルだった。

 先場所の琴奨菊が「万理一空」と述べたように、平成以降は四字熟語を口上に入れるケースが多い。晴れの日を迎えることなく亡くなった鳴戸親方(元横綱隆の里)の典子夫人によると、親方は生前に約40通りもの口上候補を紙にしたためていたという。新大関は29日に典子夫人に相談。参考にして自分で考えた。

 使者をしっかり見つめ、毅然(きぜん)とした口調はさわやかだった。稀勢の里は「一日かけて練習した。ちょっと緊張した」と照れ笑いだった。