<大相撲秋場所>◇13日目◇25日◇東京・両国国技館

 横綱朝青龍(28=高砂)が、自宅から両国国技館の「直行直帰」で賜杯獲得にあと1歩にこぎつけた。今場所は夜遊びを封印し、連日、自宅で母の手料理を食べてスタミナ不足を解消。この日もスピードで大関琴欧洲(26)を圧倒し、初日から13連勝を飾った。14日目に1敗の横綱白鵬(24)が敗れ、朝青龍が勝てば4場所ぶり24度目の優勝が決まる。

 朝青龍が、イメージそのままの相撲で賜杯をさらに引き寄せた。「先場所、まわしを取られて負けているからね。今日は相手の胸の下に入って上体を起こして、あとは離れて、速く攻める相撲を取ろうと思っていたよ」。言葉通り、立ち合いで琴欧洲をのけ反らせた。そして相手が出てくる動きを見極め、左に変わりながら左を差し、その流れのまますくい投げを決めた。3秒1。最近4場所は2勝2敗だった強敵をスピードで圧倒した。

 場所前の横綱審議委員会けいこ総見では5番で息が上がり、スタミナ不足を露呈した。初日から8連勝で白鵬をリードしても、親方衆からは「ここからがきつい。このまま行くとは考えにくい」との声が漏れた。だが、朝青龍自身もスタミナ不足を自覚し、今場所は体力温存のために健全なナイトライフを送っていた。

 近い関係者によると、朝青龍は取組が終わり、国技館を出ると、高砂部屋で自分の相撲をVTRで確認して、そのまま約5キロ離れた都内の自宅マンションに帰っているという。かつては場所中も朝方まで飲み歩き、復活優勝を果たした初場所でも外食はしていた。それが今場所は、後援者との会食もせずに部屋経由で直帰。場所前から来日している母プルブバタムさん(59)の手料理を食べている。

 再び外出し、古傷の左ひじのマッサージを受けたり、付け人と岩盤浴でリラックスする日もあるが、またすぐに帰宅してインターネット、テレビなど見て過ごし、深夜0時前に就寝。12時間近く寝る規則正しい生活を送っているという。

 千秋楽には29歳になるが、生活習慣を変えた効果もあり、動きは極めていい。残り2日。14日目に優勝が決まる可能性を指摘されても「何も考えてない。集中しているんじゃないかな」と言った。頭の中にあるのは、初場所と同じく、千秋楽で白鵬を倒しての優勝だ。【柳田通斉】