野球賭博で揺れる日本相撲協会の特別調査委員会が、武蔵川理事長(62=元横綱三重ノ海)に「公開謝罪」を求める方針を固めた。2日、東京・両国国技館で会議を開き、4日の理事会で勧告する内容を決定。理事長がファンに謝罪する機会がなかったとして、謹慎中ながらも、名古屋場所初日(11日)に直接頭を下げるように進言する。

 騒動に対するけじめは、協会のトップがつけるしかない。武蔵川理事長の謹慎期間は、4日の理事会・評議員会後から、千秋楽まで。活動は、宿舎とけいこ場の往復に限られるが、唯一の例外として、会場の愛知県体育館へ謝罪のために訪れることになる。

 伊藤座長は「理事長のおわびがない。1度は、皆さんが分かる場所で、おわびをするべきではないか、というのが私の意見です」と言った。野呂田委員は「理事長は謹慎の身だが、場所の冒頭におわびのあいさつをするべき。それが責任者としての対応だと思う」と話し、山口委員も「私も同じ意見です」と続けた。

 どのように謝罪すべきかは、まだ議論されていない。あくまで「勧告」で、武蔵川理事長をはじめとする理事会が、どう受け止めるかは分からない。「土俵には上がらない」と言う伊藤座長は帰り際「体育館の中?

 それはどうなるか。入ってくる方にずっと謝る形でもかまわないと思う。やるなら初日しかない。まあ、白装束とか着て…」と私見を述べた。

 体育館の入り口で、協会トップが頭を下げる-。かなり屈辱的な光景だが、特別調査委員会は、それほど重大な局面だと判断した。初日恒例の協会あいさつは、村山委員が有力視される理事長代行が行う見込み。中日の18日に予定される理事会は、理事長代行が指揮を執り、改革委員会の立ち上げについて議論することになる。

 黒塗りの高級車で協会に出入りする理事長は、一時的にせよ、蚊帳の外に置かれ、プライドを傷つけられる。手続き上、千秋楽の翌日から、謹慎期間は明け、理事長職に戻る。6月28日の会見で理事長は、謹慎の覚悟について「これを全部解決するまでは、とにかく一生懸命、全力を尽くしたいと思っています」と言った。勧告を受け入れ、どう謝罪するのか。覚悟のほどが、試される。