日本相撲協会は21日、初場所(来年1月8日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。新大関稀勢の里(25=鳴戸)は、明日23日の横審稽古総見で「見取り稽古」も重視する姿勢を示した。先代の教えを守って出稽古は封印するが、土俵外からの徹底チェックで初優勝への糧にする。

 全関取がそろう稽古総見に向け、「何か試したいことは?」と問われた稀勢の里は、考えを口にした。「関取衆全員が集まってやる機会はない。どういうことをしてくるのか、どういうことをするのか、しっかり見るのと、しっかり稽古するのが一番だと思います」。土俵で肌を合わせることはもちろん、外からほかの力士を見る「見取り稽古」の重要性を口にした。

 先代の鳴戸親方(元横綱隆の里)は、出稽古を避けてきた。他の力士とのなれ合いを嫌い、部屋の若い衆にこそ胸を出すことが関取衆の仕事だと訴えてきた。当代の師匠も「(出稽古は)今は考えてないです」と、教えを踏襲する。八百長問題の影響で丸1年以上、巡業もない。だから余計にライバルを「見る」ことにも重きを置いた。

 初場所後、2月4日の大関昇進披露パーティーで、化粧まわしが贈呈されることも決まった。初場所4日目には、地元から約130人の後援者もやってくる。「応援団に来ていただいた時は勝率がいい。頑張らなくちゃいけないと思います」。年末年始の休みは、元日だけの予定。時間を無駄にせず、新大関場所に精力を傾ける。【佐々木一郎】