大相撲史上最多の優勝32回を誇る横綱大鵬ら数々の強豪力士を生んだ二所ノ関部屋が初場所(13日初日、両国国技館)を最後に閉鎖されることが9日、日本相撲協会関係者の話で分かった。師匠の二所ノ関親方(64=元関脇金剛)が昨秋から頭部の疾患により長期入院中。部屋の運営が困難になり、今年11月18日の定年を待たずに看板を下ろすことになった。

 二所ノ関親方や、北陣親方(元関脇麒麟児)ら部屋付き親方3人は初場所後に二所ノ関一門の松ケ根部屋などへ転籍する予定。当初は、部屋付き親方の中から後継者を探したが、話がまとまらなかった。二所ノ関部屋には行司と床山が1人ずつのほか、三段目以下の力士3人が在籍。力士は部屋の消滅をきっかけに、初場所限りで引退する可能性もある。

 二所ノ関部屋は大鵬のほか、戦前の土俵に君臨した横綱玉錦や、佐賀ノ花と大麒麟の両大関、後にプロレスラーとして大活躍した関脇力道山や幕内天龍らを輩出。「土俵の鬼」と呼ばれた横綱初代若乃花、横綱玉の海、大関琴ケ浜も入門からしばらく在籍した。現在の二所ノ関親方は1976年9月に部屋を継承し、小結大善(現富士ケ根親方)らを育てた。

 師匠の入院、手術にともない、早期復帰が困難になったため、最近は3人の部屋付き親方を中心とした話し合いがもたれ、結論が出た。部屋の土地は借地のため、現在の建物を使用しての部屋再興は、事実上不可能。大鵬らが育った土俵は、初場所限りで役目を終えることになる。