将来の理事長へ、はっきりと道筋ができた。日本相撲協会は3日、東京・両国国技館で理事会を行い、貴乃花親方(41=元横綱)が総合企画部長に就任した。理事3期目、現理事の中で最年少ながら初の執行部入りを果たした。ほかにも危機管理部長など5つの部署でトップに立つ大抜てき。北の湖理事長(元横綱)から、将来へ向けた大きな期待を掛けられた。

 貴乃花がいよいよ、相撲協会の中枢に名を連ねた。41歳の若さで、重責を担う地位に就く。決意表明は毅然としていた。「100年後につながっていく伝統美を求めていかなければならない。人気のある力士をたくさん輩出し、若い力士を育てていくことが国技大相撲のためになるので、力を入れていきたい」。言葉は力強く、重みがあった。

 期待の高さは肩書の数に表れた。ファンサービスなどに努める総合企画部長だけではない。無気力相撲を取り締まる監察委員長や、競技を広める指導普及部長、協会員の素行に目を光らせる生活指導部長など、最多6つの職務を兼務する。

 「適材適所の人事」と評した北の湖理事長(元横綱)は、貴乃花親方について「いろいろな面からあらゆる仕事を覚えて、将来のために頑張ってほしい。相撲道に精進して、みんなのかがみだと思っている。将来を担ってほしい」と、何度も「将来」という言葉を用いた。近い未来の理事長就任を見据え、組織運営を学ばせたい意向がにじんだ。

 優勝22回を誇る現役時代は、かたくななまでに誠実な土俵態度を貫いた。その姿勢は親方になっても同じだ。土俵の充実とファンサービス拡充を一番に考え、3場所務めた大阪場所担当部長時代は自ら率先して観客と交流を図った。2年続けて大入りを10日間出した。「お客さまがいて興行は成立する。ファンあってということを第一に考えたい」。高い期待は望むところ。平成の大横綱が真っ向から挑む。