大相撲の夏巡業は12日、東北では最後となる秋田市内で行われ、秋場所で戦後最年長の新関脇が濃厚なご当地力士の豪風(35=尾車)が人気を博した。握手会では約150人が並ぶ長蛇の列。終了後もサインや写真攻めにあい、稽古場に着くだけで30分以上要した。「35歳で地元の巡業に出られる。うれしいっすね」と、細い目をさらに細めた。

 「これが最後かもしれない」と、前夜から地元の知人や関係者と会う時間をもうけて、気づけば明け方近くだったという。それでも稽古で松鳳山に胸を出し、子ども相撲で盛り上げた。最後の取組では「ありがとう秋田!!」の紙を観客に見せて、感謝を表した。

 名古屋場所で昭和以降の最年長初金星を更新したが、秋場所で関脇に昇進すれば青葉城(元関脇)の34歳7カ月を抜き、これも戦後最年長となる。加えて「9月場所は得意で(12回中)2回しか負け越していない」と験のいい場所だ。

 「知ってますか。人間に維持はなく、進化か退化しかないそう。だから自分は進化です。ベテランと言われてますが、最近はベテランの上に『レジェンド』が出てきた。ベテランはまだ通過点です」。35歳は、とどまらない。【今村健人】