<世界バレー2010女子:日本3-0韓国>◇2次リーグE組◇9日◇代々木第1体育館

 世界ランク5位の日本が、1978年以来32年ぶりのメダル獲得に大きく前進した。同21位の韓国に3-0で快勝し、5勝1敗でE組2位以上を確定させて、4位に入った1982年以来28年ぶりの準決勝進出を決めた。今日10日に今大会全勝の同7位のロシアとE組1位の座をかけて対戦する。

 日本がIDバレーでライバルの韓国を撃破した。第1セット、20-22から逆転を呼び込んだ5連続得点は、すべて竹下佳江(32=JT)の揺れて落ちるサーブからだった。「サーブで攻めて、相手を機能させないようにすることができた」(竹下)。ここから日本は一気に勢いに乗り、韓国は最後まで日本のサーブの対応に苦しんだ。

 緻密(ちみつ)なデータ分析から考えた戦略だった。韓国のエースは日本のJTに所属する192センチの金軟景。真鍋政義監督(47)はあえて金を直接抑えることを放棄した。「金はサーブレシーブもうまい。だから、もう1人の大砲の韓ソンイをサーブで狙った。前後左右にサービスを集めて、相手の攻撃につながらないようにした」。

 作戦はずばり的中した。金には20得点を許したものの、韓はわずか6得点に抑えた。相手は攻撃がスムーズにつながらず、金も勝負どころではブロックの軸になる井上や山口に止められた。「もっと金にボールを集めてくると思ったけど、それをさせなかった」と竹下。今大会、真鍋監督はコート上で多機能情報端末「iPad(アイパッド)」でリアルタイムのデータを分析して、選手交代や戦術変更に生かしているが、この日はそれが必要ないほどの快勝だった。

 一方で日本は攻守がかみ合った。17得点を挙げたエースの木村は、サーブレシーブでも今大会自己最高の58・97%を記録した。木村の対角の江畑は21得点を挙げた。これで真鍋ジャパンでは韓国に6連勝。真鍋監督は「今日は江畑のスパイク効果率があまりに高かったのでビックリした。本当かなと、思わず確認しちゃいました」と笑顔を見せた。これで準決勝進出。今日10日のロシア戦でE組の首位取りを狙い、32年ぶりのメダル獲得へ弾みをつける。【小谷野俊哉】