阪神にとっての明るい材料は、4番ボーアが2戦連続で本塁打を放ったことです。ボーアのバッティングを生で見たのは久しぶりでしたが、打ち方が変化していることに気付きました。

キャンプから見ていたボーアは、もっと大振りする印象が強かった。しかし、この日の広島戦での打撃は、非常にコンパクトな振りになっていました。それが大きく変わった点です。

2回の右越え打は広島九里のカウント2-2から、6回のバックスクリーン左へのスタンドインは一岡の3-2からの1発でした。いずれも追い込まれた後の長打です。

では、なぜボーアの打撃がコンパクトになったのか。1つは、2打席ともツーストライクを取られた後だったから、自分で大振りするのをやめたのかもしれません。

2つ目に考えられるのは、日本の文化、慣習に慣れてきて、ジャパニーズスタイルの野球にも合ってきた。いずれにしても打球も上がりだして、評価も上がってきたということです。

逆に、もう1人の新外国人サンズの方が大振りになっている。もともと広角打法が売りだったのに、3三振が示すようにコンパクトな打撃は影を潜めていました。

ただサンズが上昇してくれば、外野の定位置争いはさらに激しくなる。近本以外のポジションは、福留、糸井、高山らにも競争意識が生まれ、チームにとってもプラスに働く。

また、外国人打者の中で、2年目のマルテはもっとも計算ができる。三塁守備も安定して、首脳陣としてもこのまま「3番三塁」で起用に踏み切りたいところでしょう。(日刊スポーツ評論家)

阪神対広島 6回裏阪神無死二塁、中越えへ2点本塁打を放ちナインとエアタッチするボーア(撮影・上田博志)
阪神対広島 6回裏阪神無死二塁、中越えへ2点本塁打を放ちナインとエアタッチするボーア(撮影・上田博志)