なんとしても3連勝したい阪神だが、3連戦の初戦を落としてしまった。試合展開は接戦で緊迫した内容の好ゲーム。しかし、矛盾するようだが、接戦になればなるほど、両チームの実力差を感じた。

各チームの選手には、それぞれの「役割」がある。主力選手と若手選手は求められる「仕事」が違うし、守備固めの選手と、攻撃を優先させた選手とで求められるプレーの“質”が違う。大事なのは、その役割をどうこなすかで、それぞれが少しでも上のランクを目指すことがチームの「強さ」につながってくる。うまく機能している巨人に対し、阪神の選手は個々の役割を理解して、プレーにつなげていなかった。

主力選手では、梅野はもっと上のプレーができる選手だと思っている。2回裏2死一、三塁、1ストライクから外角へ大きく外れてワンバウンドしたスライダーを止めた。後逸すれば同点に追い付かれる場面。見事なプレーだった。しかし次球に同じスライダーを要求。投手はワンバウンドしないように投げるだろう。カウントにもまだ余裕があり、球種を変えてよかったし、同じ球なら「低め」を意識させるようなジェスチャーがほしかった。小さな気遣いでフォローしてほしかったし、それをやらなければいけない立場の選手だろう。

7回表無死一、二塁からの打席では1ボールからのバスターエンドランで空振り。二塁走者はアウトになった。内角低めのボールゾーンで、フィールド内に転がすのは難しかったが、奇襲をかける条件はそろっていたし、なんとかファウルでしのいでほしかった。

ミスにはならなかったが、守備固めに入った中谷はバックホームへの送球が高かったし、2年目の遊撃手・小幡は二ゴロ併殺で1回転して一塁へ送球した。中谷は論外だし、小幡にしても回転して投げてはいけないプレー。併殺で結果オーライにしてはこの先の成長につながらない。将来のためにも、コーチはしっかり指導してほしい。それぞれの立場の選手が、少しでも上のプレーを目指す。その積み重ねが、強いチーム作りの土台になる。(日刊スポーツ評論家)