プロ入り4年目を迎え真価が問われている日本ハム清宮が、中日との練習試合で3ランを放った。この時期は結果よりも内容が大事だが、清宮は結果を求められる立場。フリー打撃から見ていたが、技術的な部分でそれほど大きく変わった点はなかったが「何としても結果を残す」という執念が、打撃スタイルからにじみ出るようになっていた。

ホームランはカウント2ボールから、真ん中の直球を右中間スタンドに運んだもの。打者有利のカウントからの甘い球で、清宮の潜在能力からすれば、それほど称賛するような1発ではない。しかし、強引な力任せのスイングではなく「失投は絶対に逃さない」という、仕留めるべくして仕留めた1発だった。

凡退した3打席を見ても、すべてコースなりに打っていた。長打を期待されるタイプの打者が、外角は逆方向、真ん中はセンター方向、内角は引っ張るといった打撃スタイル。結果を追求している証拠だろう。さらに第1打席の初球は、外角へのボール気味の真っすぐをストライクと判定されたが、悔しそうな表情までしていた。

気持ちの面で、確実に変わっているのだろう。昨年、NHKで解説をしていた試合で、ボール気味の球をストライクに判定されて見逃し三振を喫した。個人的な想像だが、ベンチに戻ると「ボールですよね」といった感じでヘラヘラしていた。この光景を見たとき、同期でもあるヤクルト村上との差を感じた。同じ状況での村上は、仏頂面でムッとした表情でベンチに戻ってくる。これがいいのか悪いのかは個人の考え方で違うだろうが、勝負事に向き合う執念の差だと感じていた。

ヤクルトのコーチ時代、プロ入り2年目の村上には、特別厳しく接していた。他の選手なら怒らないようなことでも厳しく指摘した。髪形など、私生活の面でもうるさく注意し、村上自身も「なんで僕だけ注意されるんですか」と不服そうにしたときもあった。この頃、当時の小川監督は村上を育てるために我慢して起用し続けていたため「監督は我慢して使ってくれている。みんなと同じでいいなら、結果が出なかったらみんなと同じように使わないぞ」と突っぱねた。そして村上は、こちらの期待以上の打者に成長した。

チームの雰囲気や方針の違いもある。首脳陣の教育方針が合うか合わないかによっても違いは出るだろう。しかし結局のところ、結果が残せなければ、自分に跳ね返ってくるのはどのチームも同じで、それがプロの世界。清宮と村上は同学年で同タイプの選手。高校時代から華やかな道を歩んだ清宮に対し「負けてたまるか!」という意地を村上は見せた。今度は清宮が意地を見せる番だ。(日刊スポーツ評論家)

練習試合 日本ハム対中日 4回裏日本ハム1死一、二塁、右越え3点本塁打を放った清宮(中央)は中田(左)に頭をたたかれ迎えられる(撮影・黒川智章)
練習試合 日本ハム対中日 4回裏日本ハム1死一、二塁、右越え3点本塁打を放った清宮(中央)は中田(左)に頭をたたかれ迎えられる(撮影・黒川智章)