阪神対DeNAはルーキーに注目した。阪神ドラフト1位の佐藤輝は数々の評論家が高く評価するのも、うなずけた。これ以上、多くを評論しないが、打撃で準備ができている。トップの位置に入ってから、打ちに行くまでの「間」が長い。だから捕手からすると何を狙っているのか分かりづらい。ルーキーでそういう選手はなかなかいない。

DeNAの2位牧秀悟内野手(22=中大)も「間」が取れている打者だ。左足を上げて、軸足の右足に体重を乗せている時間が長い。打ちに行きながら球を見極めるのではなく、球を見極めてから打ちに行ける。だから2打席目の四球も2ストライクから明らかに外れたボールが続いたが、ボール球を追い掛けるような見送り方ではなかった。バットの止まり方も右肘が内側に絞れ、インサイドアウトのスイング軌道だ。

ルーキー時の長野(現広島)も右足に体重を乗せる時間の長い打者だった。牧は178センチながら93キロで、ふくらはぎの太さも印象に残った。ふくらはぎの太い選手はパワーがあり、長野を力強くした感じだ。

DeNAは日本人に佐野ら左打ちの選手が多い。対して右打ちは日本人は宮崎がいるが、ソト、オースティンと外国人選手が並ぶ。右打ちの牧がレギュラーに加わればチームとしての厚みが増す。

この日は一塁手に就いたが、ソトが今後、合流することを考えれば、二塁手争いとなる。田中俊らと争うのだろうが、打撃能力は牧の方が高い。7回に一ゴロを好捕したように動きも体格に似合わず、俊敏さがある。佐藤輝も使い続けなければいけない素材だが、牧もレギュラーとして固定していい選手だと思う。(日刊スポーツ評論家)

阪神対DeNA 1回裏阪神2死一塁、四球で出塁した佐藤輝は、塁上で牧(右)と会話する(撮影・加藤哉)
阪神対DeNA 1回裏阪神2死一塁、四球で出塁した佐藤輝は、塁上で牧(右)と会話する(撮影・加藤哉)