西勇輝投手(30)が今季実戦初登板に臨み、2回を1安打無失点に抑えた。

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西勇が3月5日に投げられたことは、阪神にとって大きな収穫だ。3週間後の26日の開幕を逆算すると、あと2回のオープン戦はともに中6日で投げて本番に向かえる。開幕までの実戦が2回程度では、やはり心もとない。6日や7日が初登板なら、中5日調整も必要で、さらにズレ込めば、開幕を誰にしようかと心配しないといけなくなる。だがこの日の投球で一定のメドが立った。首脳陣もほっと一安心したことだろう。

確かに調整不足を感じさせるマウンドではあった。打者10人に対し、3ボールまでいったのが5度あって3四球。シーズンでは1試合平均1四球の投手が、2回で47球を要し、ビシバシと両サイドに決めるコントロールに苦労していた。ただ、離脱からのブランクを考えるとやむを得ない部分だろう。あと2回のオープン戦登板で4イニング、6イニングと投球回を伸ばす中で、修正していけば、遅れをカバーできると思う。

藤浪も6回に連続四球を出したが踏ん張り、ゲームを壊さず計算できる投手になってきた。ワインドアップでもテークバックを小さくしている分、制球が安定している。ただ、長谷川に中前にはじき返された157キロなど、ヒット3本は全部真っすぐだった。結果を残したいと慎重になり、スライダーやフォークを軸にした配球で真っすぐを狙われた形。持ち味を生かす意味でも、今後は真っすぐ中心の組み立てでいってほしい。

ひとつ疑問に感じたのは、開幕候補の西勇が投げるのに、捕手は開幕が有力な梅野ではなく、坂本だったことだ。梅野が故障していれば別だが、開幕までに受ける機会はあと2回しかなくなった。藤浪も含め、シーズンで軸になる投手の仕上がりや、先ほど言った配球面の課題など、実戦で確認しておきたい事象はたくさんある。少なくとも西勇が投げる残り2試合は、梅野でいかせるべきだろう。(日刊スポーツ評論家)