エンゼルス大谷翔平投手(26)の今季2度目の登板は、4回を1安打無失点で約3年ぶりの勝利はならなかった。

この日は75球前後をメドにされ、4回までで80球に達して交代。7三振を奪った一方で、7四死球と制球が乱れことが降板の1つの要因となった。日刊スポーツ評論家の佐々木主浩氏(53)は、大谷の投球フォームのズレを指摘した。

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大谷自身が「0点です」と振り返ったように、レンジャーズ戦の投球は良くなかった。元々、踏み出した左足が着地後に動くのが特徴だが、この日は特に目についた。原因はどこにあるのだろうか。投球フォームをじっくりと見ると、1つの「ズレ」に気付いた。

右投手の場合、踏み出した左足に体重を乗せ、体を回転させていくのだが、この日の大谷は体が回るのが明らかに早かった。体が早く回ってしまうので、腕が遅れるように出てきてタイミングが合わないから、投球フォームのバランスも悪かった。

それでもスプリットはある程度制御でき、7三振のうち6つをこの球種で奪った。一方で四死球は4イニングで7つ。スライダーは引っかけ、外角を狙った真っすぐが抜けるケースが多かったのは、投球フォームにタイミングの「ズレ」が出た影響だろう。

フィニッシュの後、バッターの方に背番号が見えるくらい体が回っているシーンも見られた。踏み出した左足が接地後にブレてるように映ったのは、この回りすぎが理由だろう。この感覚は私の経験ではなかったが、考えられるのは前回登板(5日ホワイトソックス戦)から登板間隔が空き、体が軽すぎて、キレすぎたからと思われる。

大谷の感覚は普通の人とはかけ離れ、常識では考えられない。長く野球の評論をさせてもらっているが、「体が回りすぎる」と解説したのは初めてだ。この日もフォームのタイミングが合った時のボールは素晴らしかった。次回先発がローテ通りであれば、この日のマウンドで体が適度に張ることによって、軽すぎず、通常の体の状態で迎えられるはず。そうなれば、もっと良くなるのではないか。(日刊スポーツ評論家)