大混戦のセ・リーグ。首位巨人と2位ヤクルトが対戦したが、現時点での順位は全く関係ない。とにかく目の前の試合に勝つだけ。どちらが勝ってもおかしくない試合展開だった。今後もこういう接戦が続くだろう。その中でヤクルトにアドバイスしたい、“プロの考え方”を紹介したい。

両チームとも、今試合は細かいミスがたくさんあった。もちろん、そういうミスをなくしていくことは大事だが、シーズン終盤の戦いは「なりふり構わない根性勝負」が大事になってくる。そういう視点から見ると、巨人中田に打たれた2本のヒットがもったいなかった。

中田には決定的な弱点がある。極端に踏み込んで打つため、内角への速い真っすぐや、内角に食い込んでくる球種に対してほとんど対応できない。しかしヤクルトバッテリーが強い意思を持って厳しく内角を攻めたのは、4回無死からの第2打席だけで、カウント1-1からシュートを2球続けたぐらい。特に7回無死の第4打席は、外角の真っすぐを2球続けて左中間へ二塁打にされた。打たれたヒットが2本とも失点につながっただけに、悔やまれる攻めになった。

中田が巨人に移籍した経緯や、すぐにスタメン出場を続ける起用法に対し、さまざまな意見があるだろう。しかし、同じグラウンドで戦っているプレーヤーにとっては「倒すべき敵」という以外、何ものでもない。厳しく内角を攻めても「怒れないだろう」と考えてもいい。明らかな弱点が内角にあるのだから、徹底的に攻めればいいし、厳しく攻めるための“武器”にするぐらいの考え方をするのがプロだと思う。

特にヤクルトは、中田が巨人に移籍してからの初対戦。今後の優勝争いを優位に進めるためにも、初戦は全球内角を攻めるぐらい極端な攻めでもよかった。ヤクルトや阪神にとって、優勝を狙う上で一番嫌なチームは、優勝経験の豊富な巨人だろう。その経験を上回って優勝するためには、巨人を上回る闘争心が必要になる。(日刊スポーツ評論家)

巨人対ヤクルト 4回裏巨人無死、中田は中前打を放つ。投手小川(撮影・足立雅史)
巨人対ヤクルト 4回裏巨人無死、中田は中前打を放つ。投手小川(撮影・足立雅史)