エンゼルス大谷翔平投手(27)のストレートは速かったし、スライダーも切れていた。6回2失点という結果は上出来だが、引っ掛けたり、抜けた球が目についた。右打者の内角へ「インスラ」を多く投げていた。メジャーでいう「フロントドア」。6回にガルシアから見逃し三振を奪ったが、捕手は外角に構えていた。

この場面が象徴的だが、フォームで気になった点がある。踏み出した左足で、爪先が三塁側を向いていた。通常は投げたい方向に踏み出すものだ。あれだけインステップすると、右打者の外角へ投げるのは苦しい。普通はシーズン中に、足の向きは変えない。これから体がしんどくなる時期を迎える。今日だけならいいが、足の狂いは染みつきがち。体の負担を避けるためにも、爪先は投げる方へしっかり向けるべきだろう。

球速は100・8マイル(約162キロ)が出たり、100マイル(約161キロ)以上がコンスタントに出ていた。キャンプが短縮された影響もあり、ようやく体ができてきたのだろう。腕の振りが鋭くなり、跳びはねるようなフォームにもなってきた。スピードが出るから、甘いコースに行ってもファウルが取れる。コースにビシビシ決まるほどの制球力はなくても、今季、四球が少ないのは、この球威が理由だ。

前回登板で満塁本塁打を浴びたハイムに、3安打で適時打2本と打たれた。バットを折ったりと、いい当たりをされたわけではなく、結果はたまたま。なぜか間が合ってしまう打者はいるが、あまり深く考えるよりは切り替えた方がいい。

スライダーが良かったからだろうが、スプリットがわずか2球と少なかった。5回のミラーへの勝負球は三振となったが、落ちが甘く危なかった。スプリットは注意して投げたい。(日刊スポーツ評論家)

レンジャーズ対エンゼルス 6回裏レンジャーズ1死三塁、ハイムへの3球目、162キロの直球を投じる大谷(撮影・江口和貴)
レンジャーズ対エンゼルス 6回裏レンジャーズ1死三塁、ハイムへの3球目、162キロの直球を投じる大谷(撮影・江口和貴)
レンジャーズ対エンゼルス 8回表終了後、ベンチから引き揚げるエンゼルス大谷(撮影・江口和貴)
レンジャーズ対エンゼルス 8回表終了後、ベンチから引き揚げるエンゼルス大谷(撮影・江口和貴)