オリックスがシーズン143試合目で優勝を果たしたのは、今年の粘り強い戦いの成果だ。開幕直後から投打とも戦力がそろわなかったこともあって、チームから絶対的な強さは感じられなかった。

苦しいペナントレースを勝ち抜くことができたのは、中嶋監督の采配によるところが大きかった。一時は首位から最大11.5ゲーム差をつけられたが、最終戦まで粘って、粘って、決してあきらめることのない戦いを貫いた。

中でも伏見、若月、頓宮の捕手3人が、一挙にコロナに感染し、女房役を失った時期は苦しかった。その窮地に思い切って新人福永を抜てきし、ベテラン松井雅も起用しながら乗り切った。

打線も4番杉本の不調を吉田正がカバーし、中川も中軸に据えてつながりを出した。チーム事情で決まった打順はなかったが、つないで、つないで得点力を上げたのは、中島監督のやりくりの巧みさが目立った。

1、2軍の入れ替え、選手起用からトレードなど補強面まで、福良GMと中嶋監督の「あ・うんの呼吸」というべきか、“ホットライン”が的確なチームマネジメントに直結している。「現場-フロント」が一体化した連覇だった。(日刊スポーツ評論家)

楽天対オリックス 5回表オリックス無死満塁、福田の2点適時打に拍手を送る中嶋監督(撮影・滝沢徹郎)
楽天対オリックス 5回表オリックス無死満塁、福田の2点適時打に拍手を送る中嶋監督(撮影・滝沢徹郎)