オリックス日本一はベンチワークの勝利でもあった。中嶋監督を中心に、それぞれが持ち場で役割を果たすことで、チームを1つに束ねた。まだ力でねじ伏せるようなチームではないが、勝ちきるというより、負けない戦法に徹したようにも映った。

今回の日本シリーズのポイントは、第2戦の延長12回の末、3対3で引き分けた一戦にあった。3点リードで9回を迎えたが、阿部が代打内山に左越え3ランで追いつかれる。ヤクルトがモノにしてもおかしくない展開をドローに持ち込んだのは、まさに「負けない野球」だった。

当然のことながら、エース山本、主砲吉田正と、投打に看板選手がいるのは大きい。それに匹敵する存在感を示した、このシリーズのリリーフ陣は立派だった。2敗1分けで迎えた第4戦。1対0の5回1死三塁、先発山岡から宇田川、山崎颯、ワゲスパックのリレーはお見事だった。

一言で継投というが、この第7戦で山崎颯をリリーフした比嘉のように、追い詰められた局面で投入されて結果を求められるリリーフもいるのだ。その厳しい場面にもピッチャーは応えた。ではなぜこのような継投ができたかを突き詰めると、そこは中嶋監督の選手起用の妙に行き着くわけだ。

昨年の日本シリーズと違って、中嶋監督が攻撃面で細かな作戦を用いるケースは少なかった。短期決戦の流れを先読みした「臨機応変型」の継投は、監督1人ではできない。ベンチ内で頻繁に会話を交わした高山投手コーチらとのホットラインも継投の巧みさに表れた。

まだ「投手王国」とまでは言えないが、投打に若くて、伸びしろのある選手が多いから、オリックスは来シーズン以降も期待がもてる。(日刊スポーツ評論家)

10月27日、日本シリーズ第5戦 7回表ヤクルト2死二、三塁、サンタナを三振に仕留めほえる阿部
10月27日、日本シリーズ第5戦 7回表ヤクルト2死二、三塁、サンタナを三振に仕留めほえる阿部
10月26日、日本シリーズ第4戦 8回表ヤクルト1死、村上を左飛に抑える山崎颯
10月26日、日本シリーズ第4戦 8回表ヤクルト1死、村上を左飛に抑える山崎颯