日刊スポーツ評論家の岩田稔氏(39)が15日、横浜スタジアム9連敗中の古巣阪神ナインに「空気を読まない力」の重要性を説いた。自身は現役時代「連敗ストッパー」として度々活躍。16日DeNA戦(横浜スタジアム)に先発する才木浩人投手(24)にも「勝ってヒーローになればおいしい」とポジティブ思考からの快投を期待した。【取材・構成=佐井陽介】


横浜スタジアムで23年ぶりの9連敗中ですか。人気球団でもある阪神の選手は特に負けが続くとマイナスのデータが次々に紹介されるので、平常心を保つのが大変です。そんな時こそ「いい意味で空気を読まない力」が試されます。「自分が打てずに、抑えられずに連敗が増えたらどうしよう…」では無駄に重圧を感じるだけ。「自分が連敗止めたら格好いいな。救世主になれるな」。そんな風にあえて超ポジティブ思考で自分を包み込むことも大切ではないでしょうか。

僕自身、現役時代はいわゆる「連敗ストッパー」と「連勝ストッパー」のどちらも経験しています。チームの大型連敗中に先発する時にはむしろワクワクしたものです。一方でなぜか連勝も止めてしまう悩みも抱えていて、シーズン中のある日、先輩の能見さんに相談させてもらったこともありました。「またいい流れを止めてしまってすみません…」。そう頭を下げた時に優しく返してもらった言葉は今も忘れません。

「気にするな。連勝を止めることがあっても、連敗を止められる選手なんてなかなかいない。いい意味で空気を読まない選手もチームには必要なんだから」。確かそのような言葉をいただいて救われた記憶があります。冷静に考えたら、何かしらの連敗中だったとしても、ただ目の前の試合にベストを尽くすだけ。「自分は自分。連敗なんて関係ない」と割り切るマインドも重要だと感じます。

16日DeNA戦の先発は才木投手。誰の目にもトレーニングに取り組む姿勢が素晴らしくて、周りの人たちが「あれだけ頑張っているのだから、あいつに勝たせてあげたい」と思える投手です。そんな才木投手が流れを変えれば、チーム全体が盛り上がるはず。どうか「勝ってヒーローになったらおいしいな」ぐらいの思考で、自分の投球だけに集中してほしいと思います。(日刊スポーツ評論家)