首位阪神が逆転負けで首位から転落した。85年日本一の守護神で、05年のリーグ優勝時には投手コーチを務めた中西清起氏(60)が試合をチェック。5回に逆転を許した先発才木浩人投手(24)の課題を指摘した。【聞き手=松井清員】

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才木はもったいない負けになった。序盤から150キロ台の真っすぐやフォークで押し込んで、0を並べていた。それだけに逆転された5回2死から、ストライクをそろえ過ぎた“2球連続の失投”が悔やまれる。

1点リードで走者一塁。大島を1-2と追い込みながら、フォークを真ん中に投げて左前に運ばれた。続く細川には初球、外の甘い真っすぐで逆転の2点二塁打を浴びた。追い込まれていた大島は当然、食らいついてくるし、ランエンドのサインも出ていた。押せ押せで回った細川は当然、初球から狙ってくる。大島にも細川にもボールゾーンを使える場面、いや、使わないといけない場面だった。

勝利投手の権利まであと1死。投げ急いだようにも見えた。今季初登板で勝って以降、7回1失点、7回2失点と好投しながら援護に恵まれず、白星がなかった。この日も近本の先制ソロだけ。早くあと1人を抑えてベンチに帰りたい微妙な心理が出たのかも知れない。だが、こういう時ほど慎重にならないと勝ちはつかない。梅野もゾーンを広く使えとジェスチャーしていたが、才木にも余裕がなかったのだろう。結果的に意図が伝わっていないのだから、もっとオーバーアクションで伝える必要がある。

先日の西純や青柳のように、ピッチングの内容そのものが悪くて負けたわけではない。課題はここぞという勝負どころでの意識の持って行き方だ。急ぐことなく、もっと十分な時間、球数を使っていいし、使わないといけない。細かいコントロールで勝負する投手ではないが、力任せだけでは勝負に勝てない。押したり引いたり、相手との駆け引きを覚えて、白星を重ねられるようになる。勝負を分けた“2球連続の失投”をバッテリーで反省して、次回以降につなげてほしい。(日刊スポーツ評論家)

中日対阪神 5回裏中日2死一、三塁、細川に右適時2点二塁打を打たれた才木(左から2人目)は安藤コーチ(左から3人目)のアドバイスを聞く(撮影・前岡正明)
中日対阪神 5回裏中日2死一、三塁、細川に右適時2点二塁打を打たれた才木(左から2人目)は安藤コーチ(左から3人目)のアドバイスを聞く(撮影・前岡正明)