DeNAは1点を先制した直後、3回の守りが悔やまれた。ガゼルマンが先頭から死球、四球、暴投で自ら傷口を広げ、同点、勝ち越しを許した。さらに1死一、三塁で三塁の宮崎がゴロを捕れず、タイムリーエラーを犯した。簡単に併殺にできる当たりだった。ミスが重なり、自滅と言える形で一挙に4点を失った。

表の攻撃が素晴らしかっただけに、余計にもったいなく感じた。阪神大竹に対し、1死二塁で佐野は初球をファウル。3球で追い込まれたが、粘ってフルカウントまでもっていった。最後は見逃し三振に倒れたが、1人で7球を投げさせた。続くソトも初球から振ってファウル。同じくフルカウントまで粘り、7球目を先制の右前適時打とした。

今のDeNA打線は、チャンスでは積極的に振りつつ、追い込まれたら粘れている。チームとして指示が出ているのか、選手個々で実践しているのかは分からないが、明確な意思を感じる。3回はソトに続く宮崎、牧も7球を投げさせた。大竹はこの回だけで36球。1点止まりとはいえ、これだけ球数を投げさせられると、バッテリーは非常に嫌だ。疲労度は大きくなる。

日本一になった98年の打線に似ている。当時も、各打者が勝負どころを捉える“嗅覚”を持っていた。ここぞで集中できるから、1イニングに大量得点が生まれ「マシンガン打線」と呼ばれた。打線は水ものだが、個々の調子が良くない時でも積極性と粘りを兼ね備えた打撃を意識すること。1年間、続けるのは大変なことだが、それができるだけの可能性は感じさせる。

ただ、それだけの打線を有していても、ミスが重なれば帳消しになる。3回の表と裏が象徴的だった。打線は98年に似ていると書いたが、残念ながら守備面は当てはまらない。一塁駒田、二塁ローズ、三塁進藤、遊撃石井の内野陣は鉄壁だった。この日はなかったが、今季はバントミスも散見される。

先発が打たれる試合が続き、開幕以来の4連敗となった。シーズンには、そういう時期もある。打線の頑張り時だが、もったいないミスをどれだけなくせるかも、98年以来の優勝には欠かせない。

(日刊スポーツ評論家)