DeNAが「日本生命セ・パ交流戦」初優勝を決めた。前日19日に11勝7敗で全日程を終え、得失点率差で暫定トップに立っていた。優勝の可能性を残していた楽天が20日、ヤクルトに敗れたため、DeNAとして初のタイトルが確定した。

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OBとして、25年ぶりのペナント制覇への期待を強く抱かせてくれる交流戦優勝だった。DeNAがパ相手にも勝ちきった要因を挙げれば、まずは先発陣が安定したこと。その筆頭がバウアーだ。交流戦3戦3勝の成績は言うまでもないが、西武高橋、オリックス山下、日本ハム加藤貴と、各チームの主力級との投げ合いを制したことも大きかった。サイ・ヤング賞の看板に違わない働きを見せた。

来日初登板初勝利を挙げた5月3日の広島戦を見たが、1年以上のブランクがあり、まだ本調子ではないと感じた。登板を重ねれば状態は上がっていくとみていたが、そのとおりとなっている。前回の1軍登板で中4日もクリアし、いよいよ、マックスに近づいてきたのではないか。さらにスイッチが入れば、もっと状態が上がる可能性も残されており、心強い材料と言える。

もう1つの要因は、チームとして攻撃の形が整ってきたことだ。交流戦前と比べ、チャンスでの集中力、つなぎが、さらに良くなった。もともと積極性が売りの打線。それだけに、初球から振って凡打になれば淡泊に映ってしまう。紙一重のところはあるが、それがベイスターズ打線であり、形を崩す必要はない。

打線のレベルが一段階、上がったと感じたのは、18日のロッテ戦だ。佐々木朗希から6回6安打で4点を奪った。160キロ前後のストレートを狙いつつ、甘くきたフォークを捉える。追い込まれたら1球でも多く粘る。全員で難敵攻略の鉄則を貫いた。選手個々が何をしなければいけないか、高い意識を持てている。

交流戦は勝率5割でいけば御の字と思っていた。結果的に貯金を4つ増やし、首位阪神とのゲーム差は交流戦前の6から2・5まで縮まった。優勝争いのヤマ場はまだまだ先だが、シーズンはまもなく折り返す。今後へ、弾みがついたのは間違いない。

(日刊スポーツ評論家)