交流戦明けの最初の3連戦で、首位阪神と2位DeNAが対戦。ファン目線でいえば、大注目のカードだろう。それでも阪神の岡田監督が「1つ勝てばいい」と公言した3連戦でもあった。結果はDeNAのエース今永が、10奪三振1失点で完投勝ち。阪神にとって「痛い敗戦だったのか?」を考えてみた。

岡田監督は今試合での負けを、ある程度覚悟していたと思う。先発はビーズリーで、16日のソフトバンク戦で来日初先発。4回を1失点だったが、常に全力投球するタイプ。先発に向いていると思える内容ではないし、とても今永を相手に勝ちを想定できるような投手ではなかった。横浜スタジアムでは昨年から11連敗になったが、苦手意識を取り払うというより、苦手の球場でリスクを背負って勝ちにいく必要はないと考えたのだと思う。

阪神の予想ローテーションを見ても、休養を最優先して再編成している。初戦を落としても2戦目の伊藤将と3戦目の才木のどちらかで1勝できれば、“御の字”といった戦略なのだろう。安定感のある大竹、村上の先発間隔を十分に空け、来週からの6連戦に備えさせた。

ローテ再編の理由を考えれば、この日の敗戦は「想定内」なのだろう。ただ、この3連戦で3連敗すれば首位は入れ替わり、横浜スタジアムの連敗は13に伸びる。DeNAは勢いづくと破竹の強さを発揮するチームカラーで、首位に立てば波に乗る可能性がある。そして敵地での連敗も、プレーする選手側の視点でいえば嫌なイメージは残る。特に終盤の優勝争いで苦手意識が続けば、致命傷になる危険性も出てくる。

一方のDeNAは2戦目が東で、3戦目は2軍戦で中4日で調整登板したバウアーが先発する。各投手のコンディションを優先させて、無理なく「阪神たたき」に挑んでいる。3連勝は十分に考えられる。

まだ6月下旬。両チームとも無理をする必要はまったくないし、プラン通りのローテーションを組んでいる。岡田監督の頭の中で描いた戦略通りに進むなら問題ないだろうが、長いペナントレースを勝ち抜くには、どこかの期間で「勢い」をつけることが必要。「勢い」をつけるための準備をしている阪神に対し、DeNAは「勢い」をつけるまたとないチャンスが巡ってきている。(日刊スポーツ評論家)