10連勝で首位に立った広島の勢いを封じたのは、阪神村上の投打にわたる活躍だった。好調なチームを相手に先発し、7回2失点も見事だが、打っても3打数2安打。プロ入り3年目を迎えた今季、1軍で大活躍を続ける実力をいかんなく発揮していた。

村上のクレバーさはキャッチャー任せにせず、自分で考える投球ができるところ。6回2死一塁、打席に4番の松山を迎えた。それまでの2打席は、いずれも内角のカットボールでサードゴロに抑えていた。3打席目を迎え、初球は外角のフォーク。タイミングを外し、セカンドゴロに仕留めてみせた。

投手でありながら、左打者の内角へ食い込んでくるカットボールの有効性を理解している。ドン詰まりで打ち取った打者は、どうしても内角球で詰まりたくないという意識が働くもの。その打者の習性が分かっているから冷静に投げられる。だから投げミスにもつながりにくい。

松山だけでなく、左打者を7人並べた広島打線を相手に序盤は積極的に内角を攻めた。左打者にとって厄介なのは、内角に投げるカットボールと真っすぐを使い分けている点だろう。村上の真っすぐはナチュラルにスライダー回転する“真っスラ”で、カットボールと見分けがつきにくい。同じ系統の球種だが、微妙な曲がり幅の違いが打者の打ち損じ確率を上げている。

そこに加え、内角球は高めを狙ってくる。内角でも外角でも「とにかく低めへ投げろ」と日本の指導者は指導しがちだが、内角へは高めの方が打ちにくい。自分なりに打者を抑えるイメージを頭に描けているのだろう。

バッティングも見事だった。右投げ左打ちの村上は、6回2死一、二塁からスライダーをレフト前ヒット。ど真ん中の甘いコースだったが、強引にならずに流し打っていた。どうやって打てばヒットになりやすいかが分かっているようで、これをピッチングにも生かしているのだと感じさせた。

優勝は上位4チームの争いになると思う。今試合に勝った阪神が再び首位に返り咲いたが、好調な広島を相手に見せた今試合の村上の投球は、今後の優勝争いに向けても頼りになりそうだ。(日刊スポーツ評論家)