優勝に向かって独走状態に入った阪神が、やりたい放題の“ノビノビ野球”で快勝した。
今3連戦、ひとつでも勝てば優勝が確定的になると思っていたが、初戦に続いて2位の広島に連勝。優勝争いに決着をつける試合になった。
阪神には余裕があった。1点を先制した直後の攻撃だった。2回1死一、三塁、投手の大竹がバントの構えをして打席に立った。ここで考えられる作戦は、一塁走者を二塁へ進めるだけの送りバント、セーフティースクイズ、スクイズが有力だと思っていた。大竹は昨年までDHのあるソフトバンクにおり、試合前時点での今季成績は30打数1安打。打力に自信がありそうなタイプではなかった。
バントの構えをして、1、2球目の外角の真っすぐがボールになったときだった。大竹は打席を外して、三塁ベースコーチにサインを確認。ベンチにいた岡田監督は、笑顔を見せてサインを出し直した。
広島バッテリーはここで違和感を感じなければいけなかった。普通の送りバントやセーフティースクイズ、スクイズであれば打席に入る前から考えられる作戦で、大竹はサインを確認しなかったと思う。そしてサインを出し直した岡田監督の笑顔も怪しかった。
スクイズのサインに対して、バッターが打席を外して確認をすれば「なにかある」と相手は警戒を強める。スクイズのサインは続けにくくなり、監督は「なにやってんだ」と笑顔を浮かべる余裕はなくなるもの。おそらく「バスターのサイン」で、打撃実績の乏しい大竹に対し「そりゃ、バスターなんて出すわけないと思ったんだろうな」という笑みだったと思う。
普通のバントのサインに戻したか「待て」のサインに切り替わったのだと思う。大竹はバントの構えをしたまま、外角の真っすぐを見逃してストライクだった。ここから広島バッテリーは「なにか仕掛け直してくる」と警戒を解いてなければ、真っすぐを外角へ4球も続けなかっただろう。阪神ベンチはバスターのサインに再び切り替えて、大竹の打球は左翼越えのタイムリー二塁打になった。
大竹はプロ入り初長打で、初のタイムリー。続く近本も2点タイムリーを放ち、一挙に4得点。先発・大竹の投球内容も抜群で、阪神の強さばかりが目立った試合になった。
広島のショックは大きいだろうが、まだCSで対戦する可能性はある。粘り強く戦う本来の広島野球が復活すれば、リベンジするチャンスはある。気持ちを切り替えて戦い、いい試合を見せてもらいたい。(日刊スポーツ評論家)




