阪神が中日に逆転負けを喫した。先発村上頌樹投手(25)は5回2失点で降板したが、規定投球回数をクリア。防御率1・75としてタイトル獲得を確実なものとした。

また最多安打を争う中野拓夢内野手(27)は4打数1安打でトップの座を守った。日刊スポーツ評論家で広島3連覇監督の緒方孝市氏(54)が解説した。

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今シーズン、飛躍した投打の柱的な存在が、クライマックスシリーズに向けて順調な姿を見せた。

防御率のタイトルがかかった村上は、2点こそ取られたが、安定した投球内容で、しっかり投げられていた。今季の他の試合同様に、低めに伸びのあるストレート、カットボールなどバリエーションのある変化球をコースに投げ分けることができた。最も信頼の置ける投手で、CSファイナルステージの初戦を任せるのに十分な投手だろう。大竹、伊藤将ら投手陣は充実しているが、そう期待されていると思う。

実質1年目のシーズンなので、短期決戦初戦の重圧をどう考えるかだが、来年、再来年を戦う上で、ローテーションの柱として、さらに飛躍させるために起用するという考え方もあるだろう。

打者でいえば、中野のプレーも称賛すべきものだった。最多安打という個人タイトルを争っている中で、1打席目の内野安打だけでなく、2打席目も内容はあった。1死一塁から、一ゴロになったが、つなぎを意識が見られた。シーズンと変わりなく、タイトルほしさの打撃ではなく、投手にカウントを整えさせ、フルカウントにまで持っていった中での進塁打。アウトになっても走者を先に進める姿勢は、消化試合の打撃ではなかった。もちろん、タイトル争いのモチベーションが高い集中力を維持しているということもあるだろうが、シーズンの打撃を心がけて、1打席ごとに立っている。だから形も崩れていないし、きちっと振れている。

中野は負担の大きい二遊間のポジションでフルイニング出場を継続している。この日も走攻守で動きがよかったし、調子を維持しながらできているのは、自己管理ができている証拠。途中出場となった近本とともに、1、2番コンビの働きが短期決戦の大きなポイントになる。

中日対阪神 5回裏中日2死、岡林を二ゴロに打ち取り、野手を笑顔で迎える阪神村上(撮影・藤尾明華)
中日対阪神 5回裏中日2死、岡林を二ゴロに打ち取り、野手を笑顔で迎える阪神村上(撮影・藤尾明華)
中日対阪神 2回裏中日1死二、三塁、龍空に中前2点適時打を許した阪神村上(右から2人目)(撮影・藤尾明華)
中日対阪神 2回裏中日1死二、三塁、龍空に中前2点適時打を許した阪神村上(右から2人目)(撮影・藤尾明華)
中日対阪神 中日戦に先発した阪神村上(撮影・藤尾明華)
中日対阪神 中日戦に先発した阪神村上(撮影・藤尾明華)
中日対阪神 4回裏中日2死一塁、木下を捕邪飛に討ち取り打球を指示する村上(撮影・森本幸一)
中日対阪神 4回裏中日2死一塁、木下を捕邪飛に討ち取り打球を指示する村上(撮影・森本幸一)
中日対阪神 5回、力投する阪神村上(撮影・藤尾明華)
中日対阪神 5回、力投する阪神村上(撮影・藤尾明華)