阪神が逆転勝利でCSファイナルステージの白星スタートをもぎ取った。

リーグ1位の1勝のアドバンテージがあったため、これで2勝目。日本シリーズ進出まで残り2勝となった。先発した村上頌樹投手(25)が6回1失点の好投&決勝打と投打で躍動した。阪神元投手コーチで日刊スポーツ評論家の中西清起氏(61)が解説した。

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優勝チームに1勝のアドバンテージがあるCSファイナルステージでは、言うまでもなく、初戦の勝利は大きな重みを持つ。私が投手コーチを務めた14年に、ファイナルで王者巨人に4連勝したが、一気に4つ取らなければ突破できないという思いで戦略を練った。裏を返せば、今回の阪神は初戦を取れば、相手の勢いを封じることができる。それを実践できた戦いだったと言える。

1つのポイントとなったのは、3回2死一塁の場面だ。小園の打席で、2ストライクから一塁走者の野間がスタートを切ったが、外角に外し、坂本が刺した。ファーストステージを連勝した広島は「奇襲」が注目されていたが、捕手の坂本はしっかりと準備できていた。新井監督の積極的な仕掛けを封じる意味でも、大きいプレーだった。

CS初登板となった村上は、やはり独特の緊張感があったのだろう。レギュラーシーズン22試合の登板で15四球しか与えていなかったが、この試合だけで3四球。ただし制球が悪いということではなく、慎重に投げた結果だ。高めのストレートで空振りを奪えていたし、フォークもよかった。6回3安打1失点は普段通りの投球で、十分に評価できる内容だった。

勢いに乗る広島に対して、短期決戦では余裕を持ちすぎて隙を見せてはいけない。ベンチはそれをよく理解していた。3点リードの8回には打者2人を封じた石井から、好調島本にスイッチ。好調の野間をワンポイントリリーフで抑えた。ピンチの芽を事前に摘み取る盤石の継投が光った。接戦の場合は終盤の用兵が試合の鍵を握るとみていたが、試合全体を通して、広島に策という策を出させなかった。「普通にやれば勝てる」という岡田監督の野球だった。投手力の違いは歴然としており、阪神のファイナル突破の確率は90%と言っていい。

阪神対広島 初戦の勝利球を受け取り笑顔を見せる阪神村上(右)。左は坂本(撮影・足立雅史)
阪神対広島 初戦の勝利球を受け取り笑顔を見せる阪神村上(右)。左は坂本(撮影・足立雅史)
阪神対広島 広島に勝利し、タッチを交わす阪神村上(左)と岡田監督(撮影・前田充)
阪神対広島 広島に勝利し、タッチを交わす阪神村上(左)と岡田監督(撮影・前田充)
阪神対広島 初戦に勝利し、スタンドにあいさつする阪神岡田監督(撮影・足立雅史)
阪神対広島 初戦に勝利し、スタンドにあいさつする阪神岡田監督(撮影・足立雅史)
阪神対広島 初戦に勝利し笑顔を見せる阪神岡田監督(中央右)(撮影・足立雅史)
阪神対広島 初戦に勝利し笑顔を見せる阪神岡田監督(中央右)(撮影・足立雅史)
阪神対広島 リリーフカー場内1周し、ファンの声援に応える阪神村上(撮影・前田充)
阪神対広島 リリーフカー場内1周し、ファンの声援に応える阪神村上(撮影・前田充)
CSファイナル 阪神対広島 広島に勝利し、タッチをかわす阪神ナイン(撮影・上山淳一)
CSファイナル 阪神対広島 広島に勝利し、タッチをかわす阪神ナイン(撮影・上山淳一)