阪神とオリックスの日本シリーズが28日、開幕する。日刊スポーツ評論家の中西清起氏が、今シリーズの見どころ、ポイントを挙げた。

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阪神、オリックスとも投手陣を中心に守り勝つ野球でリーグ、CSファイナルを勝ち上がった。チームカラーは非常によく似ていて、戦力は高いレベルで拮抗(きっこう)している。関西シリーズは点の取り合いにならず、どの試合も終盤勝負で1点を争うロースコアになると予想する。日本一も4勝0敗や4勝1敗では決まらず、4勝3敗、4勝2敗などと、もつれる可能性が高いのではないか。

投手陣が明暗を分けそうなポイントは継投だ。先発&リリーフを含めた量は10勝トリオらがいる阪神だが、質は絶対的エースの山本らがいるオリックスが少し上だろう。その分、阪神は先発を引っ張り過ぎたり、1人遅れたりすると命取りになる。量が豊富な分、勝負どころのリリーフは1人1殺で行くぐらいの覚悟で、決して出し惜しんではいけない。日本シリーズはほんの一瞬の悪手で全体の流れが決まる。見極め、代え時は非常に重要になる。

阪神の打のキーマンは近本、中野の1、2番コンビだ。シーズンでは何度も連動して勝利に導いた2人が、広島とのCS3試合はともに1安打ずつ。特に中野の内容が良くなく、打線が分断されていた。広島戦のチームの安打数は5、5、7本。オリックス投手陣はそれ以上にチャンスをくれないはずだ。中でも初戦の山本は難攻不落で、機動力も絡めて2人で揺さぶって得点圏をつくり、何としても先制したい。1、2番が“逆シリーズ男”になるようだと苦しくなる。チームとしても、広島戦のようにファーストストライクから積極的に打ちに行くのか、交流戦でロッテ佐々木朗から勝ちを奪った時のように球数を投げさせるのか、徹底した作戦指示が必要だ。

阪神は京セラドーム大阪で今季8戦全勝といっても全部セ・リーグ。オリックスとは戦っておらず、甲子園での交流戦は山本らの前に1勝2敗と負け越した。オリックスも甲子園に苦手意識はないはず。阪神は梅野以外の選手が日本シリーズ初体験で、精神的には2年連続で戦っているオリックスが少し優位に、初戦を迎えることになるだろう。

それだけに阪神は入りが大事で、山本に勝てれば独特のムードへの慣れも含めて波に乗れる。落としても、2戦目を取って3試合戦える甲子園に戻れれば、優位に迎え撃てるはずだ。京セラドーム大阪は2連敗だけは避け、1勝1敗で御の字。甲子園なら地の利も生かして2つ取れるとみる。(日刊スポーツ評論家)