現役時代は近鉄一筋17年で4度の盗塁王に輝き、オリックスで監督を務めた日刊スポーツ評論家の大石大二郎氏(65)が日本シリーズ第6、7戦(京セラドーム大阪)のポイントを解説します。3勝2敗で38年ぶりの日本一に王手をかけた阪神が優位で迎える第6戦。ポストシーズンで不振のオリックス先発の山本由伸投手(25)が、すべてのカギを握ると分析しました。【聞き手=松井清員】

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舞台が京セラドーム大阪に移る注目ポイントは、何と言っても第6戦先発のオリックス山本です。ロッテとのCSファイナルは7回10安打5失点。阪神との日本シリーズは6回途中10安打7失点。らしくない投球が続く中、今季ラスト登板でどんな投球を見せるのか。日本最高峰の投手が本領を発揮すれば阪神も前回のようにはいかないでしょうし、底力を見たいですね。

特に阪神戦は高さ、コースとも甘く、高い球が目立ちました。調子が出ない中、足への警戒が薄かったことも崩される要因でした。4回までは2安打無失点も、5回に佐藤輝に意表を突かれたような二盗を決められてガタガタっとなった。阪神戦のクイックは1秒3前後。めっぽう早い方でもないので、捕手若月の肩も重要です。相手先発が前回抑えられた村上だけに、いかに失点を少なくできるか。いずれにしてもハイレベルな投球が求められます。

逆に阪神は1、2番が出て機動力を使えるかどうか。前回のように点を取れないと締めてかかるでしょうし、足を使って揺さぶりたい。ここ一番での3番森下、4番大山の勝負強さが際立っているので、その得点パターンに持ち込めるか。先発は計算できる村上だけに先制すれば優位に運べます。オリックスはもし山本が失点を重ねた場合、どこまで引っ張るか。救援陣も苦しい状態なので、継投機も分岐点になりそうです。

阪神が第6戦を取れば日本一ですが、負けてタイなら一転、オリックスが優位に立つでしょう。第7戦の先発は宮城で前回は6回無失点と完璧。一方の阪神は青柳の予想です。第2戦にシーズン防御率3・57の西勇に託して打たれたので、同4・57の青柳を送らざるを得なくなる。中6日で2度先発できる第2戦は非常に大事で、伊藤将や才木、大竹が投げていれば、第7戦を彼らでいくことができた。失点確率の差でオリックスに分があります。第6戦はそれほど大一番です。