大学生で侍ジャパンに選ばれた金丸君と中村君の投球に注目したが、正直驚かされた。この秋のドラフトで上位で指名される素材なのはもちろん、大谷(ドジャース)がメジャーリーグに行って、周囲は日本球界が心配とか、損失だとか言う人もいたけど、こうやって次世代のスター候補は出てくるんだなと思った。

先発の金丸君の投球を見た時、今中慎二(元中日)の姿を思い出した。ゆったりしたフォームから腕をムチのように使って、リリースでしっかりとボールに力を伝える。初戦で投げたオリックスの山下もそうだが、フォームに力感がないけど、ボールには力があって、低めに集める制球面も素晴らしかった。

スライダーやスプリットなど変化球と真っすぐの腕の振りも全く同じだった。フォークやスプリットを投げる時は落とそうという気になるので、少し腕が緩む投手もいるが、金丸君はそれもなかった。だから、欧州代表の選手たちはギリギリまで球種の見分けがつかず、2回で4つの空振り三振を喫したのだろう。

2番手で投げた中村君は剛腕タイプだった。適性的にはリリーフ向き。タイプ的には今回の侍ジャパンのメンバーでは西武の平良に近いイメージを持った。大学生2投手は異なるタイプだが、表現するなら金丸君が「柔」で中村君が「剛」。物おじしない度胸も見事で、持ってるものは即プロで通用すると感じた。

打者では、西川君の思い切りの良さや振りの強さが目立った。この先、3選手がどういった成長曲線を描くのか。本当に楽しみだし、2年後のWBCでのメンバー入り、4年後のロサンゼルス五輪の中心になれる可能性も秘める。次世代を見据えた今回の侍ジャパンは見応えがあったし、メンバーを選考した井端監督の眼力も素晴らしく、日本野球の将来に期待を抱かせた。(日刊スポーツ評論家)

欧州対日本 日本先発の金丸(撮影・藤尾明華)
欧州対日本 日本先発の金丸(撮影・藤尾明華)
欧州対日本 2回裏を投げ終え、笑顔でナインを迎える金丸(撮影・前田充)
欧州対日本 2回裏を投げ終え、笑顔でナインを迎える金丸(撮影・前田充)
欧州対日本 3回、2番手で登板した日本中村(撮影・藤尾明華)
欧州対日本 3回、2番手で登板した日本中村(撮影・藤尾明華)
欧州対日本 3回、中村優斗の球速を示す掲示板(撮影・藤尾明華)
欧州対日本 3回、中村優斗の球速を示す掲示板(撮影・藤尾明華)
欧州対日本 3回裏欧州1死、ムジークを空振り三振に仕留め、雄たけびを上げる中村(撮影・前田充)
欧州対日本 3回裏欧州1死、ムジークを空振り三振に仕留め、雄たけびを上げる中村(撮影・前田充)