阪神85年日本一の守護神で、05年のリーグ優勝時に投手コーチを務めた中西清起氏(61)が試合をチェック。伊藤将や大竹ら先発陣の現状や開幕投手に青柳を起用した理由、9連敗した要因を分析しながら開幕に向けた課題を指摘しました。【聞き手=松井清員】

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先発ローテの軸を担う左右の2人が、内容と結果で順調な仕上がりを示した。特に村上はキャンプから状態が良く、2年目のジンクスも含めて心配を感じない。ただ伊藤将はまだ本来の投球ではないように映る。打者の懐に入れていく持ち味の真っすぐが弱く、キレがまだまだ。抜群の制球力で打たせて取れたが、本人も心から満足していないのではないか。だが過去2回のオープン戦に比べると確実に上向きだ。開幕まで残り2回の登板でベストにもっていけそうなところまできたのは安心材料だろう。

岡田監督は開幕投手に昨年MVPの村上ではなく、青柳を指名した。昨年開幕を任せて優勝できたので、よほど青柳の状態が悪くなければ動かす必要はない、余計なことをする必要はないと、流れを重視した考えによるものだろう。昨年は8勝ながら21、22年に最多勝を獲得した実績もある。その分、一番重要ともいえる6連戦の週頭に村上を持っていくことができる。現状で最有力の開幕ローテは巨人戦が青柳→大竹(門別)→才木、2カード目のDeNA戦が村上→伊藤将→西勇。右→左→右の理想的な並びで組め、各カード最低2勝1敗で開幕ダッシュを目指す形が整ってきた。

オープン戦とはいえ、負け続けるのは嫌なもので、内容が悪すぎた。試合数は各球団で違うが、9連敗中(12日時点)の数字を見ると、失点に絡むケースが目立った13失策は12球団ワースト。投手の与四球31個は11位で、もらった四球は27個の5位と、12球団断トツだった昨年より平均値を落としている。そして喫した三振は57個で8位。これが何を意味するか。相手も相当、日本一チームを研究しているということだ。

四球出塁の推奨方針を逆手に取り、今年はストライク先行で攻めてくる傾向が目立つ。結果、四球が減って三振が増えているように思う。投打がかみ合った白星で落ち着く部分もあるだろう。開幕までの残り8試合でその課題を解消すべく、締めてかからないといけない。

ロッテ対阪神 ロッテに勝利し、村上(左)を迎える阪神岡田監督(撮影・鈴木みどり)
ロッテ対阪神 ロッテに勝利し、村上(左)を迎える阪神岡田監督(撮影・鈴木みどり)
阪神伊藤将司(2024年3月6日撮影)
阪神伊藤将司(2024年3月6日撮影)